堺屋太一の大予言? 20年前に書かれた近未来小説『平成三十年』がスゴイ! (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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堺屋太一の大予言? 20年前に書かれた近未来小説『平成三十年』がスゴイ!

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堺屋太一さん

堺屋太一さん

「何もしない日本」では、国際競争力の低下で円安と国際収支の赤字化が進み、不況と物価の上昇とが同居するスタグフレーションに陥る可能性が高い。

 本編は1997年6月1日より98年7月26日まで、朝日新聞朝刊に連載した小説を修正加筆したものだ。連載終了から書籍出版までに4年を要したのは、この連載が終了した直後に、私が小渕内閣の閣僚として、景気振興と経済構造の改革に当たることになり、修正加筆する時間的余裕がなかったためだ。その間に、内外の情勢もかなり変わった。連載当時の予測に比べてはるかに速く変わった分野もあれば、進まなかったところもある。速かったのは、金融などの企業構造の変化と情報産業の発達だ。この二つは私自身、経済企画庁長官や情報産業担当大臣として関与したところである。

 その一方、変わらなかったのは官僚主導の体制と、安全、平等、ことなかれの思想だ。この二つは、21世紀に入ってからむしろ強化されている。

 今回の出版に当たっては、こうした現実に沿っていくらかの修正加筆を行った。新聞連載という枠組みに捉われることなく、長編小説に仕上げられたと満足している。

■世界経済は逆転するか

 予測小説(または近未来小説)は、1975年に小説『油断!』で、私がはじめた創作手法だ。私はそのあとに『団塊の世代』などの予測小説を書いた。世界的にもこれに倣(なら)う作家が現れ、ポール・アードマンのような著名作家も誕生した。日本でも、ようやくこの手法が浸透、最近では大型倒産や金融破綻をテーマにした予測小説ができている。創作手法(文学ジャンル)の創始者として嬉しい限りだ。

 予測小説ではまず、経済社会の条件を「最もありそうな状況(予測の中央値)」に置く。そしてその中で主題とする事件(テーママター)が起こった場合の影響を可能な限り現実的に描く。従って、テーママター以外では正確かつ体系的な状況予測が欠かせない。

 本編の場合、まず重要なのは、平成30年の世界の経済情況と技術条件、国際情勢を考えることだ。

 冷戦構造の崩壊から30年、平成30年までには、世界の国境を大変化させるような大戦争や大革命は起こらないだろう。知価社会の進展と共に、国家は急速に稀薄化している。


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