泉房穂・前明石市長 (c)朝日新聞社
泉房穂・前明石市長 (c)朝日新聞社
総決起集会に出席した泉房穂・前明石市長(撮影・今西憲之)
総決起集会に出席した泉房穂・前明石市長(撮影・今西憲之)

 兵庫県明石市の泉房穂前市長(55)が「火を付けて捕まってこい」などの暴言で辞職したことに伴う市長選が10日告示された。

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 辞職した泉氏は無所属で出馬、元市長・北口寛人氏(53)、共産党の新人・新町美千代氏(71)の3人が届け出て、17日に投開票される。

 泉氏は東京大学卒業の弁護士、衆院議員の経験もあり、市長就任後、独自の政策で人口増加、税収アップで成果を上げた一方、自らの「暴言」で明石市を全国区にしてしまった。

 市長辞任後、公の場には姿をみせていなかったが、明石市で開催された「泉市政の継続を求める会・総決起集会」(3月3日)に出席。

 泉氏は暴言から一転、涙を浮かべ、深々と頭を下げた。

「まず最初にみなさん、申し訳ございませんでした」

 と10秒以上、頭を下げ続けた。

 そして、市長を辞職したことにこう説明した。

「発言はすべて事実。報道で市役所の電話は鳴りっぱなしで職員が仕事ができなくなった。部下に責任を転嫁することはできず、結果責任を負わねばならない」

 そして、辞職した理由は家族もあったとも釈明した。

「子供が学校に行くと『火をつけるぞ』とからかわれている」「自宅に心ないFAX届き、(暴言の)第2弾、3弾があるぞと、心ない内容だった。家族を守らねばならないと辞職を決めた」

 公の場に姿を見せていなかったが、泉氏はなぜ怒り、暴言を吐くのか、どう対応すれば、いいかと「日本アンガーマネジメント協会」 の講座を受けていると説明。

「ささいなことで、自分が怒りをコントロールできないことがわかった」と述べた。

 支援者らが「市民と一緒に笑ったり、よろこべる市長は泉さんしかない」と声をかけられると万雷の拍手。

 泉氏はスーツで涙をぬぐい、号泣していた。

 この日の集会で「次の市長選には出馬をすべきでない」と大声で発言する市民もいた。

 というのも泉氏が当選した場合、公職選挙法の規定で、4月の統一地方選挙で再度、市長選となり、2度の市長選となりかねないのだ。

「家族のためにももう一度、市長に返り咲きたいと出馬を決意してくれた。2回の市長選挙で批判はより強くなる。マスコミでもきつく報じられる。それも覚悟の上だと、泉氏は言っている。我々も2回選挙を戦う支援態勢です」(泉氏の支援者)

「暴言市長」に市民はどういう審判を下すのか?(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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