“プロ未経験者”を打撃コーチに登用…ドジャースの「革新的人事」は成功するか (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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“プロ未経験者”を打撃コーチに登用…ドジャースの「革新的人事」は成功するか

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杉山貴宏dot.

ドジャースの新打撃コーチに就任したロバート・バンスコヨック(写真:getty Images)

ドジャースの新打撃コーチに就任したロバート・バンスコヨック(写真:getty Images)

 ナ・リーグ西地区を6連覇していながら、ここ2年連続でワールドシリーズにて敗退するなど頂点へあと一歩が届かずにいるドジャース。もちろん今オフも積極的な選手補強を展開するなどの手を打っているが、そんな中であるコーチ人事が注目を集めた。ロバート・バンスコヨック新打撃コーチの就任だ。

 バンスコヨック氏は、メジャーリーグの打撃コーチとして最年少となる32歳での抜てき。だがそれ以上に異色の経歴として目を引くのが、彼がメジャー経験どころかプロ野球選手としてプレーした経験が皆無なことだろう。ではなぜそんな人物が全米で30人しかなれないメジャーリーグの打撃コーチの座につけたのか。その理由を述べる前にはまず、ある打撃理論について話をする必要がある。

 少年野球の経験がある方なら覚えがあることと思うが、これまでは「レベルないしダウンスイングでライナーかゴロを狙え」というのが打撃指導として一般的だった。フライを打ち上げて監督に雷を落とされた記憶のある方もいるだろう。これはフライはキャッチするというワンアクションでアウトになるのに対し、ゴロはキャッチ→スローイング→キャッチというスリーアクションが必要なため、内野安打や守備側のミスがより期待できるからという理由もあった。いわゆる「転がせば何かが起きる」というやつだ。

 この考え方が間違っているわけではないが(特にミスが出やすい少年野球や学生野球では)、セイバーメトリクスの活用や、あらゆるプレーを高精度に分析するスタットキャストの導入が進むメジャーリーグでは、あるデータが浮上してきた。打球の質を解析した結果、打球の角度が30度前後で速度が158キロ以上の打球が「バレルゾーン」と呼ばれる最も打率や長打率が高くなる場所へ飛ぶことが判明したのだ。

 これは簡単に言うと、特定条件のフライのほうがゴロよりヒットになりやすい(もちろんホームランにもなりやすい)ということで、メジャーリーグでもスラッガーたちを中心にフライを意図的に打つ打撃方法が広まってきた。「フライボールレボリューション」の勃興だ。

 この「フラレボ」の代表的な成功例として知られるのが、昨季にレッドソックスで打率3割3分、43本塁打、130打点と三冠王まであと一歩の好成績を残したJ.D.マルティネス外野手。そして彼を長年指導して大成させたのが、バンスコヨックなのである。



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