物騒なタイトルに感じられるかもしれない。だが、インターネット上では相変わらず写真が無断使用され、その価値が毀損されている。この時代にわれわれはどう向き合うべきか。アサヒカメラ1月号では、著作権侵害と闘い続ける二人の写真家、有賀正博、岩崎拓哉を招き、弁護士の三平聡史、アサヒカメラ編集長の佐々木広人の4人で座談会を実施。ここでは、誌面で収録しきれなかった話も含めて3回に渡ってお届けする。悪化する著作権侵害とどう向き合うべきか、そして、解決策とは――。第1回の今回は、損害賠償請求までのポイントについて語る。
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――自分の写真が無断使用され、損害賠償請求などを行うときに最低限必要なポイントはありますか?
三平 まずは自分が著作者であるという立証ですね。
岩崎 たまに相手から著作者であることを証明せよと言われることがあります。ファイル名、撮影日時、場所、使用カメラ、レンズ、シャッター速度や絞りなどといったデータ、撮影の状況などをまとめています。僕はRAWとJPEGデータをCDに焼き、プロバイダーに提出したこともあります。
有賀 写真業界では、RAWデータを持っていれば撮影者という認識がありますが、相手や裁判官によっては「RAWって何?」って言われることもありますけどね。あと、相手によっては、「著作者であることはわかったけど、著作権者なのか?」と突っ込まれることもありそうです。
三平 著作権は譲渡できますからね。譲渡していない証明というのは難しいものですが、相手から「著作権は譲渡された」と主張された場合、そのことを立証するのは主張している側なので、こちらは「譲渡していません」と言うだけで何もする必要はありません。
佐々木 自分が撮影した写真であると客観的に証明するのは意外と難しそうですね。
三平 テクノロジーが進化して、いっそのこと撮影時に撮影者の名前が自動的に記録され、絶対に改竄(かいざん)できないようになればいいのですが。
岩崎 裁判だとより厳密な主張が必要となるので、「なぜこのシャッター速度と絞り、感度にしたか、この時間帯に撮影した意図は……」というように、事細かに伝えます。
有賀 創作性の有無ですね。