隠し子騒動で再ブレイクした桑名正博さん(c)朝日新聞社
隠し子騒動で再ブレイクした桑名正博さん(c)朝日新聞社

 2012年に亡くなった歌手・桑名正博さんの息子を名乗る桑名乃羅氏。先月27日放送のフジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」で桑名さんの長男・美勇士と対面が実現するなど、次々と新たな展開を見せてもいる。

 桑名さんは地元・大阪を基盤にしていたので、桑名さんの友人、後輩、関係者と、僕の交友関係が濃密に重なっていて、生前からいろいろな話を聞いていた。

 期せずして、桑名さんの名前がクローズアップされる流れとなり、ここ最近もいろいろな話を聞いたが、多くの関係者が閉口したのは、乃羅氏が全国の飲食店で金銭トラブルを起こしていると報じられたことだ。

 桑名さんが行きつけにしていた大阪市内のホルモン串焼きのお店。桑名さんが亡くなってからも僕も何回か通ったが、そこには桑名さんがボトルキープしていた焼酎が、それは、それは大切に置いてある。

 いかに、桑名さんが良い酒の飲み方をし、良い金の払い方をし、みんなに思い出を残してきたか。まさに、それを証明しているのがそのボトルと言える。乃羅氏と桑名さんの顔は非常に似ているが、僕を含め多くの関係者が「酒の飲み方はずいぶん対照的だな」と感じた。

 桑名さんは男女問わず、心惹かれる魅力の塊のような人。いくつも心震えるような話を聞いたが、忘れられないのが、ある芸人に対するエピソードだ。

 雄々しく、豪快な印象が強い桑名さんだが、親しい関係者は “とても優しい人”と口をそろえる。若手時代の島田紳助さんも支え、面倒見の良さで多くの人から慕われた桑名さんだが、実は倒れる直前にも、ある芸人を激励するために愛情たっぷりのドッキリ企画を自ら計画していた。

 ターゲットとなっていたのは、桑名さんのものまねを得意ネタとする吉本興業の兄妹漫才コンビ「ビタミンS」のお兄ちゃん(本名・中野将幸)。

 お兄ちゃんと面識はなかったが、亡くなる前年に共通の知人を通じてお兄ちゃんが自分のものまねをしていることを知った。「やっと大阪でオレのものまねをするヤツが出てきてくれたか!みんな、ビビッてやらないのに、勇気のあるヤツや。ホンマにうれしい」ととても喜んでいたという。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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誕生日パーティーで行われる予定だったドッキリ企画