ソフトバンク・甲斐拓也(左) (c)朝日新聞社
ソフトバンク・甲斐拓也(左) (c)朝日新聞社

 2018年も多くの好プレーが生まれ、新たなスターが誕生したプロ野球界。その中でセンセーショナルに最後の日本シリーズを締めくくったのが、“甲斐キャノン”だった。

 甲斐拓也。大分・楊志館高から2010年秋の育成ドラフト6位でソフトバンクに入団して8年目の今季、自己最多の133試合に出場して12球団トップの盗塁阻止率.447を記録すると、迎えた広島との日本シリーズでも素早いステップワークからの正確な送球でシリーズ記録となる6者連続盗塁阻止を達成。チームを2年連続の日本一に導き、自らは日本シリーズMVPを受賞した。この甲斐の活躍で、改めて捕手の盗塁阻止にスポットライトが当たったわけだが、プロ野球界には過去にも多くの強肩捕手が存在した。

 まず思い当たるのが、野村ID野球の申し子である古田敦也である。プロ入り前は眼鏡をかけた捕手に対するスカウトの懐疑的な声もあったが、プロ入り後はそれを自身のトレードマークとし、いきなり1年目からヤクルトの正捕手として盗塁阻止率.527をマーク。プロ2年目の1991年には12人連続盗塁阻止の離れ業、1993年には日本記録となるシーズン盗塁阻止率.644という驚異的な数字を残した。捕球してから送球までの素早い動作と投手とのコンビネーションも磨き、入団から13年連続で阻止率4割超えをマークし、プロ通算盗塁阻止率.462という驚くべき数字を残した。

 “機敏さ”を最高次元にまで高めた古田に対し、単純な“強肩”という意味では、メジャーリーグでも活躍した城島健司がナンバーワンだろう。甲斐と同じ大分の別府大付属高から1994年のドラフト1位でダイエーに入団すると、高卒3年目の1997年から1軍正捕手として活躍。並外れた打棒とともに「座ったままの送球で走者を刺す」という規格外の強肩ぶりを発揮し、2001年から4年連続でリーグ最高の盗塁阻止率を記録。2002年には自己最高の盗塁阻止率.508を叩き出した。さらにMLBでも2007年にリーグトップの盗塁阻止率.465を記録するなど、世界を相手にしても、その強肩ぶりを見せつけた。

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谷繁、中村ら過去の名選手たち