2015年限りで現役を引退した谷繁元信も強肩で鳴らした捕手の一人。島根・江の川高から1988年のドラフト1位で大洋に入団。高卒1年目から1軍フル帯同で80試合に出場し、自慢の強肩で2000年までに盗塁阻止率4割台を4度記録し、翌2001年には盗塁阻止率.543をマーク。2002年の中日移籍後も巧みなキャッチングとインサイドワークで投手陣を引っ張るとともに、盗塁阻止率4割以上を計4度マークしてチームを助けた。

 その谷繁と入れ替わるように中日から横浜へと移籍することになった中村武志も強肩だった。京都・花園高から1984年のドラフト1位で中日に入団すると高卒4年目の1988年に盗塁阻止率.448、翌1989年には.516をマーク。1995年にもリーグ最高の盗塁阻止率.519を記録するなど、長期に渡って中日の正捕手として強肩ぶりを発揮した。

 盗塁阻止率が正式に記録され始めたのは1969年から。1970年代には田淵幸一(阪神)、大矢明彦(ヤクルト)の2人を筆頭に、福嶋久晃(大洋)、有田修三(近鉄)、梨田昌孝(近鉄)らがシーズン盗塁阻止率5割以上をマークしているが、彼らと比べても盗塁阻止率6割以上を2度記録している古田の存在が際立つ。走者側の能力、技術も進化している中、甲斐がその古田に、文字通り“肩を並べる”ことができるのか。それとも、また新たな強肩捕手が誕生するのか。甲斐の出現、活躍によって、捕手の“肩”に対するファンの注目度がこれまで以上に高まっていくのは間違いない。