■イニエスタがいる神戸はどうなるか 

 元スペイン代表のイニエスタを獲得するなど、外国人選手の積極補強を行っているヴィッセル神戸を例にとって説明したい。現在のヴィッセル神戸には6人の外国人選手が在籍している。

アンドレス・イニエスタ(スペイン)
ルーカス・ポドルスキ(ドイツ)
ウェリントン(ブラジル)
キム・スンギュ(韓国)
アフメド・ヤセル(カタール)
ティーラトン(タイ)

 そのうち外国人選手枠として試合に出ているのがイニエスタ、ポドルスキ、ウェリントンの3人で、アジア枠がキム・スンギュ、そしてヤセルとティーラトンは提携国なので外国人枠にカウントされない。8月の横浜F・マリノス戦では途中出場のティーラトンを含む6人が同時にピッチに立ち、11人中の過半数が外国人になった最初の事例として大きなニュースになった。来季は例えば、現在の外国人選手を維持しながら、さらに1人の外国人選手を起用することが可能だ。そうなれば7人が外国人というケースも起こり得る。

 また、登録数は制限がなくなるため、若い外国人選手を獲得して、主力のケガや疲労、戦術的な目的に応じてベンチ入り選手を入れ替えることも可能になる。アジア人枠がなくなったことで、神戸の守護神であるキム・スンギュがいきなり移籍することは考えにくいが、極端な仮説としては、バルセロナで第3GKの立場にある22歳のホキン・エスキエタをレンタルで加入させ、キム・スンギュと競わせるといったことも可能だ。

 また、U-23チームを活動させているFC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪といったクラブであれば、J3の試合でも外国人選手を4人までは起用できるため、より戦略的な外国人選手の活用も考えられる。そうなると、外国人同士でのチーム内競争も活性化されるわけだ。

 海外の事例を見ると、やはりリーグの活性化やレベルアップ、あるいはグローバルなマーケティングを視野に入れ、外国人選手枠を拡大する傾向が続いてきた。そもそも、欧州はEU(欧州連合)選手を外国人として扱わない制度が確立している。そこに外国人選手枠が加わるわけだが、最も外国人選手枠に厳しいスペインでも、EUに加えてEFTA(欧州自由貿易連合)加盟国、トルコ、コトヌー協定加盟国(主にアフリカ、カリブ海、太平洋地域)の選手が外国人選手枠にカウントされない。さらにスペインのクラブに5年以上在籍すれば市民権を取得できるため、誰が外国人選手枠かを国籍で見分けることも難しい状況になっている。

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