途中出場で存在感を見せた原口元気(写真:getty Images)
途中出場で存在感を見せた原口元気(写真:getty Images)

 チームに綻びが生まれそうな時こそ、その輝きは一層強くなる。

 サッカー日本代表の原口元気は16日に大分で行われたベネズエラ戦で改めて、その存在が森保ジャパンでも欠かせぬものであることを示した。

 森保一監督は試合前日に「ウルグアイ戦のメンバーをベースに戦っていきたいと思う」と話していた通り、世界トップクラスのタレントを誇る南米の雄を相手に躍動した選手をベネズエラ戦に送り出した。そのなかで左サイドハーフには、たった3試合で早くも森保ジャパンを象徴する選手の一人となった中島翔哉がスタメン起用されたが、この試合でも類まれなる個の力で違いを生み出していた。

 中島は開始早々、同じく日本代表の新星として瞬く間に存在感を高めた堂安律のパスからゴールを脅かし、いきなり見せ場を作った。逆に、前半16分には左サイドで起点を作り、堂安のビッグチャンスを演出した。

 中島がボールに触れば、何かが起こる。見ている者にそういった期待感を抱かせるプレーはこの日も健在。前半34分には大迫勇也のスルーパスに抜け出し、GKと一対一の決定機を迎えた。そして、同39分にはFKで酒井宏樹の代表初ゴールをお膳立て。中島のプレーには常にゴールの雰囲気が漂っていた。

 ただ、その一方で、守備でマイナス面が浮き彫りになるケースもあった。中島は自身の前にボールホルダーがいる場合はプレッシャーをかけにいったり、パスコースを切る動きを精力的に行うが、ボールが背後に運ばれた場合は自陣深くまで戻らずに攻め残りをすることが少なくない。

 その選択自体は必ずしも悪いわけではない。中島が残ることで、チームとしてボールを回収した際には素早い攻守の切り替えからカウンターで脅威を与える存在になれる。しかし、相手にそのポジショニングをうまく利用されると、味方のサイドバックが数的不利に陥って苦しい対応を迫られることもある。

 実際、ベネズエラはそのデメリットを巧みに突いてきた。右サイドハーフのジョン・ムリージョが中に絞ってプレーすることで日本の左サイドバック・佐々木翔はその対応に追われ、それによって空いたサイドのスペースを右サイドバックのロベルト・ロサレスが使うという形を何度か作った。日本の守備陣が最後の局面で踏ん張ったため、失点にはつながらなかったものの、サイドから攻略されかけていたことは確かだ。

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途中出場で存在感を示した原口