「五輪後は元気がなく長く外出していないなんて話も聞いていたソリさん(反町氏)が、再びサッカーへの情熱を燃やして監督を引き受けた。そしてチームは劇的な勝利で昇格するという筋書きがあまりにもドラマティックで、感動しました」

 3つ目は16年の清水エスパルスvs徳島ヴォルティス。

「昇格を狙う清水はアウェーながらサポが数千人も集まっていて、ゴール裏周辺が真オレンジ色に揺れていましたね」

 試合は清水の先制後、徳島が追いつく展開。勝ち点状況は複雑で、他会場の結果次第で清水は勝利が必須なのかドローでいいのか、刻一刻と変わる。3位の松本がリードした直後から清水は攻めまくり、ドローでよいとなればノーマルな攻撃に戻って……と選手も観客も片時も集中を切らせることのできない展開に。結局清水が勝利すると得失点差で他に勝り、自動昇格が決まった。実にひりひりする試合だったと土屋さんはしみじみ振り返る。

「それにしてもJ2で年間これだけ多く試合があり、もっと早い段階で昇格・降格が決まってもおかしくないはずなのに、毎年最終節まで何かしらもつれ込む。何なんでしょうね。最後は意地と意地のぶつかり合い。J2最終節にはしびれるような刹那感があります」