「振り返ると、苦労しかしていない」 ヨーロッパで人気のビアバイクを作ってしまった人々の苦悩 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「振り返ると、苦労しかしていない」 ヨーロッパで人気のビアバイクを作ってしまった人々の苦悩

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神姫商工が製作したビアバイク「Party Bike(パーティーバイク)」

神姫商工が製作したビアバイク「Party Bike(パーティーバイク)」

後ろのベンチから見るとこんな感じ。向かい合っているせいか、車内の雰囲気は和やか

後ろのベンチから見るとこんな感じ。向かい合っているせいか、車内の雰囲気は和やか

運転手だけが乗った状態。カウンターのサドルには背もたれが付いており、リラックスできる

運転手だけが乗った状態。カウンターのサドルには背もたれが付いており、リラックスできる

 ヨーロッパの観光地などで人気の乗り物「ビアバイク」をご存知だろうか。ペダル付きのバーカウンターに座った人たちが、ビールを飲みながらペダルをこぐと車体が進むという、日本では珍しい乗り物だ。そんなビアバイクを開発したものの、微妙に扱いに悩んでいる企業があるという。2018年10月、開発した自動車整備会社、神姫商工(兵庫県姫路市)を訪ねた。

【なんだか面白いその動き…ビアバイクの動画はこちら】

「とりあえず見てみてください」

 神姫商工版ビアバイク、「Party Bike(パーティーバイク)」の開発に携わった同社の総務部長、馬躰紀計さんと総務課長、藤井康生さんの案内で工場へ向かった。そこに保管されていたのが、屋根付きのバーカウンターに、自転車のサドルやペダルを組み合わせた全長約4.1メートル、幅約1.7メートル、高さ約2.6メートルのビアバイクだ。

 軽自動車より少し大きいぐらいだろうか。果たして人力で動くのか?と思いきや、藤井さんによると、1人でペダルをこいでも走るというから驚きだ。

 ビアバイクの定員は9人。車体正面の座席に座った運転手がハンドルやブレーキを操作する。コの字型をした木製カウンターの両端に3人ずつ、背もたれ付きのサドルに座る計6人がペダルをこぐ。後ろの2人掛けの座席は、何もしなくてよい特等席だ。

 バーのようでもあり、動く会議室のようでもある。神姫商工のスタッフらとサドル席に乗り、ペダルをこいでみた。意外と軽い。聞けば、ペダルは6段変速の自転車の1段程度の重さに調整してあるという。少しこぐだけで、車体はすいすいと向かって左方向に進んでいく。スピードは、人が歩くぐらいの時速5~7キロ。「安全性を考えて、あまりスピードが出ないようにしました」(馬躰さん)

 向かい合ってひたすらペダルをこぐだけなのだが、自分の力でこんなに大きな乗り物が動いているのかと思うと、ビールを飲んでいなくても面白い。そして、車体の設計上、前進しかできないので、バックしたい時は、みんなで車体を押すのだ。前進でもバックでも、乗員の一体感が生まれそうではある。

 いったいどうしてこんな不思議な乗り物を作ってしまったのか。事の発端は2015年、有馬温泉観光協会(神戸市)の幹部が、神姫商工の親会社であるバス会社、神姫バスに「ドイツにおもしろい乗り物があるんやけど」とビアバイクの製作を持ち掛けたことだった。


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