ところが、役員会のあとで経営者と一対一で話すと「Aさんはこれやっているけど、私は納得できない」などと平気で言うわけです。「えっ?」ですよね。「社長のあなたが納得できないって、会社はどうなるの? 考えたことありますか?」と思わず問いただしてしまいます。

 サッカーでもバレーボールでも、ボールがきているのに「いや、納得できないからオレは動かない」というのは、チームスポーツとしてありえませんね。じつは日本企業の経営層のチームでは、そうしたでたらめが日常的に行われているのです。「あっ、オレ、それは納得できないから何もしないよ」という頑固オヤジが普通にいる。これではチームとして機能するはずがありません。

 上がそうなら下も当然そうで、管理職レベルでもよくありますね。飲み屋で課長が部下を相手に隣のチームの文句を言っている。「オレら製造は頑張っているのに、なんで営業は頑張ってくれないんだ」とか。これが「チーム感がない」ということなのです。製造課長と営業課長が一緒のチームだという世界標準の認識がぜんぜんなくて、あるのは部門ごとで戦っているという間違った発想だけ……。

 みなさんの周りにもいるでしょう。経営チームや管理職チームの定例会議で、ふんぞり返ってシラーっとして、ふてくされたように座っているメンバー。他の人の意見を聞くだけ聞いて、面倒くさそうにひと言「わかった」。僕はファシリテーターで会議に入ることが多いのですが、そういうときには必ず突っ込みます。「わかったって、どういう意味ですか?」「わかったって、何をわかったんですか?」「わかったって、これからどうするんですか?」。変な外国人にそう突っ込まれると、急に「あわ、あわ」とあわてふためくわけです。

「うちの連中、ぜんぜん仕事しなくて」という文句もすごく多いですね。もちろん、僕は突っ込みます。「うちの連中って、どういうことですか? あなたは部門長でしょ? そのチームをどうするの? メンバーが仕事しないのはあなたのせいですよ」「育成していないの? サポートしていないの? ただひじ掛けのついたイスについているだけなら、管理職は失格ですよ」と変な外国人に厳しく言われて、ようやく「はっ」と気づくわけです。

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本当の「経営チーム」に必要なもの