翁長前知事の弔い合戦の行方は?(c)朝日新聞社
翁長前知事の弔い合戦の行方は?(c)朝日新聞社
佐喜真淳氏(右)VS玉城デニー氏 (c)朝日新聞社
佐喜真淳氏(右)VS玉城デニー氏 (c)朝日新聞社

 翁長雄志知事の死去に伴う沖縄知事選が9月13日に告示された。翁長氏の後継路線を打ち出している玉城デニー氏と、自民党や公明党が支援する佐喜真淳氏の、事実上の一騎打ちとなる。翁長氏の突然の訃報で、当初の予定よりも早まり、知事選は大混乱した。

【写真】一騎打ちとなる玉城デニー氏と佐喜真淳氏

 翁長氏は那覇市長や自民党県連幹事長など沖縄の要職を歴任した保守政治家だった。

 2014年の選挙では、自民党からも翁長氏支持にまわる議員が続出。自民党の支援で出馬した仲井真弘多元知事に10万票近くの差をつけた圧勝だった。

「オール沖縄は、自民党の保守の一部に、社民党や共産党という枠組み。それでなければ、10万票も差がつかない。翁長氏ゆえに作れた、枠組み。今回もそれを維持できるかどうかが、カギだ」とオール沖縄支援の地方議員は言う。

 だが、翁長氏の「遺言テープ」の存在を巡って、オール沖縄の一角だった沖縄県議会の会派「おきなわ」が離脱。会派「おきなわ」の関係者がこう話す。

「録音があるなら、聞かせてくれればいい。しかし、それがまったく聞き入れられない。オール沖縄はこれまで、保守や革新ではなく、基地反対で結集。透明性、風通しのよい連合体だった。それが否定されたので離脱した」

 そして沖縄財界有力者もこう距離を置く。

「前回の選挙では、財界からも翁長氏の支援が多かった。その理由が翁長氏が自民党の県連幹事長までやったということ。それに、沖縄財界の中核、琉球石油(現・りゅうせき)の創業者一族、稲嶺恵一氏(元知事)が翁長氏を応援したことも大きかった。沖縄独特の地縁血縁で、稲嶺氏は翁長氏と近い関係だったので支援したそうです。だから、他の企業も翁長氏を応援しやすかった」

 さらに前回の選挙を振り返り、こうも打ち明ける。

「沖縄財界といっても、やはり本土の資本が入っているような大手企業も多くあります。前回は翁長氏なので、何もなかった。けど、選挙戦が近くなって早くも本土の方から『今回は、翁長さんじゃないから、(与党系を)よろしく頼むよ』とプレッシャーがきたりします。前回のように財界はオール沖縄といかないんじゃないか」

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佐喜真陣営の地方議員はこう不安を漏らす