塚原夫妻、山根前会長、栄前部長、スポーツ協会で相次ぐパワハラ “老害”を伊調馨問題の告発人が読み解く (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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塚原夫妻、山根前会長、栄前部長、スポーツ協会で相次ぐパワハラ “老害”を伊調馨問題の告発人が読み解く

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パワハラを告発した宮川紗江選手 (c)朝日新聞社

パワハラを告発した宮川紗江選手 (c)朝日新聞社

レスリング協会による伊調馨選手へのパワハラを告発した貞友義典氏

レスリング協会による伊調馨選手へのパワハラを告発した貞友義典氏

 私が注目しているのは、オリンピックや国際大会の代表選出の手続きです。いわゆる一発勝負で代表が決まるのであれば、代表選出に幹部の恣意的な判断や策動は認められませんが、一発勝負で決まる競技というのは、実は少ない。そのため、代表選出の権限を持つ幹部に対し、選手やコーチは服従するしかなくなってしまうのです。

──現在問題になっている体操をはじめ、レスリングやボクシングも採点が勝敗に影響を与える競技です。このことは関わりますか。

 特に採点競技では、代表選出に権限をもつ幹部が、審判の人事権などを握って審判団に影響力を持てば、鬼に金棒です。女子レスリングの「至学館判定」、ボクシングの「奈良判定」、体操の「朝日生命判定」となってしまう。

 今年、次々に問題となった各スポーツ界の幹部は、全員が代表選出手続きに強い力を持ち、さらには審判への影響力だけでなく、人事権まで握っていたことで共通しています。

──独裁的な支配がまかり通っている協会に、共通した特徴はあるのでしょうか。

 独裁の事実を知るバロメーターとして、コーチに支払われる助成金の行方があります。本当に全額がコーチに支払われているのか。もし、選手が信頼するコーチ以外の人間がコーチ助成金を受け取っていたら、選手は自分の本当のコーチとすでに引き離されているということです。また、賞金や助成金は全額が選手やコーチに支払われなくてはなりません。そうなっていないのは、誰かの不当な力が働いているからです。すでに独裁者の魔の手が伸びていると言って間違いないでしょう。

──一部の人間によるスポーツ界の独裁的な支配を防ぐ方法はないのでしょうか。

 重要な問題は、日本のスポーツ組織には「独裁を許さない」というガバナンスが確立されていないこと。独裁に走っている幹部の存在に、周囲が気が付かないわけがありません。しかし、協会に少数意見、反対意見をくみ上げる能力がないために、一部の人間による独裁が始まってしまうのです。

 まずは、理事などの構成員が自由に意見を述べ、意思決定を行うという制度的保障は不可欠です。さらには、各協会には常時、第三者が監督者として入っておく必要があるでしょう。問題が起きてから第三者委員会を立ち上げても、後の祭りです。

(AERA dot.編集部・西岡千史)


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