ケンブリッジ飛鳥と山縣亮太 (c)朝日新聞社
ケンブリッジ飛鳥と山縣亮太 (c)朝日新聞社

 8月18日に開会式が行われたアジア大会。世界と戦えるようになりながらも、なぜかこの大会の金メダルには手が届かない成績が続いた陸上競技男子4×100メートルリレー日本代表は、インドネシア・ジャカルタの地で20年ぶりの優勝を狙う。

 4×100メートルリレーの今季を含めたこれまでの実績や、ライバル中国の布陣を考えれば優勝の可能性は高い。だが、その前哨戦となる26日の男子100メートル決勝は、今季の中国勢の急伸で厳しい状況にある。

 日本勢の出場は6月の日本選手権を10秒05で制した山縣亮太と10秒14で2位に入ったケンブリッジ飛鳥。山縣は今季、3月22日のオーストラリアでシーズンインし、序盤は「スタートで重心が後ろに残ってしまう」と試行錯誤を重ね、10秒1台の記録が続いたが、6月3日の布勢スプリント決勝では向かい風0.7メートルで10秒12を記録して優勝し、「やっと前に転びそうになるくらいに突っ込めた」と笑顔を見せた。その後は、その走りが日本選手権でも安定した走りにつながり、7月のヨーロッパ遠征・ベルギーでは10秒13を記録して優勝と、勝負強さを見せた。その後、脚の不安で大事を取ってダイヤモンドリーグ・ロンドン大会出場はキャンセルしたが、仕上がりは順調だ。

 一方、ケンブリッジもシーズン序盤こそ走りを崩していたが、6月の布勢スプリントからはその修正もできて初めて10秒12にまで記録を伸ばし、日本選手権でもきっちり2位に入って代表の座を獲得。7月のヨーロッパ遠征は調整のために出発を遅らせたが、スウェーデンの大会では優勝を果たし、徐々に調子を上げている。

 だが、中国勢もそれを上回る勢いを見せて強力なライバルとして立ちはだかろうとしている。2015年に日本勢に先んじて9秒99を出していた蘇炳添は今年3月の世界室内60メートルで2位になると、屋外シーズンに入っても5月のダイヤモンドリーグ上海で2位に入り、その2週間後のアメリカ・プレフォンテーン・クラシックでは追い風2.4メートルの参考記録ながらも9秒90をマーク。さらに6月22日のスペイン・マドリードミーティングではアジアタイ記録の9秒91で優勝と、世界トップレベルの結果を残している。

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中国勢にアクシデントが…