ぬいぐるみが「かけがえのない存在」という心理とは? ぬいぐるみ病院の新たな試み (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ぬいぐるみが「かけがえのない存在」という心理とは? ぬいぐるみ病院の新たな試み

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南文枝dot.
毎週木曜日には、患者の退院を祝う交流パーティーが開かれる。リボンを着けているのが、治療を終えた患者だ(ぬいぐるみ病院)

毎週木曜日には、患者の退院を祝う交流パーティーが開かれる。リボンを着けているのが、治療を終えた患者だ(ぬいぐるみ病院)

ぬいぐるみ病院のホームページには、患者の退院後に家族が開いたパーティーの様子も掲載されている

ぬいぐるみ病院のホームページには、患者の退院後に家族が開いたパーティーの様子も掲載されている

「ぬいぐるみと人との笑顔や涙の関係を解き明かしたい」と話す病院を運営する「もふもふ会」理事長、堀口こみちさん

「ぬいぐるみと人との笑顔や涙の関係を解き明かしたい」と話す病院を運営する「もふもふ会」理事長、堀口こみちさん

ぬいぐるみや家族の心に寄り添う手厚いサービスが人気のぬいぐるみ病院(ぬいぐるみ病院提供)

ぬいぐるみや家族の心に寄り添う手厚いサービスが人気のぬいぐるみ病院(ぬいぐるみ病院提供)

治療を受ける前(左)と終えた後(右)のぬいぐるみ(ぬいぐるみ病院提供)

治療を受ける前(左)と終えた後(右)のぬいぐるみ(ぬいぐるみ病院提供)

 またある時、電話で「病院の近くのホテルに泊まっているので、夜は(患者を)戻してほしい」という問い合わせがあった。治療の関係で対応できず、入院してもらうことができなかった。猫のぬいぐるみの女性もそうだが、それから病院に連絡はないという。

 ぬいぐるみを愛するあまり、離れられなくなってしまう人がいる。堀口さんが聞いた話では、いつもぬいぐるみを片手で持っていて、着替える時も離すことができない子どももいるという。

「なぜなのだろう、と思いました。私もたくさんのぬいぐるみと一緒に暮らしていますが、治療のために離れられない、ということはない。患者様が入院している間も、ご家族が笑顔で過ごすにはどうすればよいのか。人とぬいぐるみとの関係をひもといて、ご家族の安心につなげたい」

 そう考えた堀口さんは現在、「ぬいぐるみとこころの研究所」の開設を進めている。病院に蓄積されたデータを生かして、人間がどうしてぬいぐるみによって笑顔になったり、涙を流したりするのか、といったメカニズムを解き明かす試みだ。近々、大学との共同研究も始める予定だ。

 他にも、入院中の患者の様子を家族が見られるシステムや、ぬいぐるみ同士が友達になれる「ぬいとも会員」の制度を導入しようと考えている。「友人や職場の人たちに『ぬいぐるみと一緒に暮らしている』と言っていない方もいらっしゃいます。患者様を通してお友達がほしいというご家族の希望も多いため、東京や大阪などのホテルでパーティーができれば楽しそうですね」(堀口さん)

 さらには、「ぬいぐるみ産婦人科」の開設も検討している。生まれてくるぬいぐるみの赤ちゃんの皮膚や目、口などパーツの素材から選び、定期的に病院に通ってもらいながら、完成させるイメージだ。赤ちゃんはベビーベッドに並べて寝かせ、完成したら退院する。

「患者様とご家族がずっと長く一緒にいられるよう、クオリティーの高い治療法を開発し、繊細なご要望にもお応えしたい。退院後も、患者様のご健康を末永くサポートさせていただきたい」と話す堀口さん。人とぬいぐるみとの関係の解明にも期待したい。(ライター・南文枝)


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