「刑事訴訟法上では、死刑判決確定後、法相が6カ月以内に執行を命じることになっている。だが、そういうケースは稀で、世界的に死刑廃止が叫ばれる中、日本もやむを得ずという方向性になっていたのは事実。もちろん、上川法相もそれを理解していた。だが、オウム真理教の事件の死刑確定者というのは、正直、法務省でというより、国の意向が左右する。国家の威信にかかわる天皇陛下のご退位、ご即位、東京五輪などが控える中で、法務省もそのあたりを勘案しながら、このタイミングになった」(法務省関係者)

 そんな上川法相に対して、自民党の幹部はこう話す。

「上川さん、最初の7月6日の死刑執行後、残りの6人のサインについてはかなり躊躇したようですね。そりゃ、すごいプレッシャーの中、一度に7人の死刑執行を1人でサインしたんですよ。彼女はハーバード大学で学んだこともあって、国際感覚があり、死刑がいかに、世界では批判を浴びているか、よくわかっています。それを法務官僚が説得して残り6人も最後はサインさせた。記者会見後にちょっと顔を見たが、かなり厚化粧でした。やつれたのを隠すためだったんじゃないかな」

 上川法相は麻原元死刑囚ら7人の死刑前夜の5日夜、自民党党幹部が主催した「赤坂自民亭」なる親睦会に女将役で出席、安倍首相を囲み笑顔を見せていた写真がSNSで拡散され、バッシングを浴びた。自民党幹部がこう話す。

「タイミングが悪くて申し訳なかった。自民党としても上川さんについてはキチンと処遇するでしょう。今後、彼女にはずっと一生、SPがつくようなことです。オウムですから何をやらかすかわからない。静岡が選挙区ですから、比例1位などにして安定的なポジションを保証してあげるべきだという声も出ています」(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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