オウム死刑囚の執行について会見する上川法相 (c)朝日新聞社
オウム死刑囚の執行について会見する上川法相 (c)朝日新聞社
死刑直前、真っ青な顔になった岡崎死刑囚 (C)朝日新聞社
死刑直前、真っ青な顔になった岡崎死刑囚 (C)朝日新聞社
岡崎死刑囚が生前、描いた絵 (支援者提供)
岡崎死刑囚が生前、描いた絵 (支援者提供)
岡崎死刑囚が生前、描いた絵 (支援者提供)
岡崎死刑囚が生前、描いた絵 (支援者提供)
岡崎死刑囚が生前、描いた絵 (支援者提供)
岡崎死刑囚が生前、描いた絵 (支援者提供)

 29人の死者を出した松本・地下鉄両サリン事件などで死刑判決を受けた13人すべての死刑が執行され、多くの謎を残したまま、オウム真理教事件は終焉した。

【死刑直前、真っ青な顔になった岡崎死刑囚と生前、描いた絵】

 教祖だった麻原彰晃(本名・松本智津夫)元死刑囚ら7人に続き、7月26日に執行されたのは、林(現姓・小池)泰男(60)、岡崎(現姓・宮前)一明(57)、横山真人(55)、豊田亨(50)、広瀬健一(54)、端本悟(51)ら6人。

「執行が近いなというのは、わかっていたようでした」と話すのは、名古屋拘置所の関係者だ。

 名古屋拘置所では、岡崎死刑囚と横山死刑囚の死刑が執行された。

「6日に死刑執行が麻原らの死刑がありましたよね。その後、ちょっと時間を置き、拘置所からそのことを2人には伝えました。それに、麻原らの死刑執行は拘置所内のニュースでも、聞いていてわかっていた。どちらも、来る時が来たなという感じで受け取っていたそうです。というのも、偶然に知った場合、発作的に自殺したりすることもあり得るので、こちらから伝えろというのが、法務省の判断だった。それ以降、自殺防止のために、自殺につながりそうなもの、例えばタオル、スプーンなどはすべて没収。必要に応じて、刑務官が渡して監視しながら、使わせていた。ボールペンなども、何があるかわからないので同じような対応をしていた。岡崎は朝、刑務官が独居房を訪れた瞬間に悟ったのか、真っ青な顔になった。ただ東京拘置所で執行されたある死刑囚のように腰を抜かして、立つことすらできなかったということはなく、連行時は落ち着いていた」(前出の名古屋拘置所関係者)

 岡崎死刑囚は支援者に死刑執行前の心境を綴って、手紙を送っていた。麻原元死刑囚らの執行について<まさか、7月末でなく七夕の前日とは愕いております>と書いていた。支援者の面会予定日を決まっていることに対して<それまで生存しているか否か?は、よく分かりませんが、今月末(7/27頃)が危ないので、来週の7/25(水)までには、最期の手紙としての、書くつもりでおります><毎月の如く月始めか月末が危険日です>

 その予感が的中したように、7月26日に執行された。岡崎死刑囚の亡骸に対面した、支援者はこう感想を述べている。<お顔は若い頃より痩せていて、穏やかに眠っているようでした><その人柄と、事件の残虐さのギャップがすごいなと時折感じておりました。どうしてあのような残虐な事件が、あのような穏やかな組織から起こったのか、ご本人は言葉にすることが難しいと表現している部分もありますが、もちろん非常に反省されていた。事件を風化させないように、遺されたものを社会にお役立てしたい>

 一方、わずか1か月で13人の死刑執行の指揮書にサインしたのは、上川陽子法相。

 2回法相を務めた上川法相は前回の在任時含め、計16人に対し、死刑を執行したことになる。

 法務省の関係者によれば、上川氏が法相に就任したときから、オウム真理教の死刑囚の執行のタイミングが模索されたいた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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