ベルギー戦で先制ゴールを決める原口 (c)朝日新聞社
ベルギー戦で先制ゴールを決める原口 (c)朝日新聞社

 攻撃時間にしてわずか10秒だった。

 後半立ち上がりの48分。ベルギーの攻撃に対してミドルゾーンでブロックした日本。左サイドでムニエからボールを奪った乾貴士から柴崎岳にパスが出ると、ボールを受ける前に原口の動きだしを確認した柴崎はファーストコントロールで右前を向き、やや3バックのポジションからワイドに開いたフェルトンゲンの裏にスルーパスを送る。そこに右外から原口が走り込んだ。

「切り返そうかと思ったけど、相手ががっつりくる気配がなかったのでそのまま打った感じです」

 そう振り返る原口が右足を振り抜くと、クルトワのリーチを破ってホール左のサイドネットにすいこまれた。さらに4分後には乾の見事なミドルシュートによる追加点が生まれるわけだが、積極的に攻めて行く流れの中でも、いかにこうした攻守の切り替わりやセカンドボールを生かすかが、このレベルの戦いでは重要かということを象徴する最初のゴールだった。

「自分たちのペースで後半から立ち上がりから入れたので、ああいう形から2点を取れたというのは自分たちの思惑通りで、いい試合でができた」

 そう乾が語るように、まずは相手に対して後手に回らない積極性がベースになるが、そこからいかに相手の隙をついていくかが得点には求められる。実際この2得点を取る流れの中ではベルギーに隙が生じた。

 ムニエが右サイドでボールを持った時に中盤のヴィッツェルとデ・ブライネがサイドの方によっており、3バックの手前が完全にあいた状態になっていたのだ。さらに逆サイドのカラスコも前にポジションを取っている状態で、右サイドの原口に加えて大迫勇也、香川真司も3バックの手前を走っていたが、柴崎は迷わず原口へのパスを選択した。

「後半もいける雰囲気も感じていました。ショートカウンターから相手の3バックの裏やウイングバックの裏は非常に空いている時は前半からも多かったので、後半はそこをうまく突けたかなと思います」と柴崎。その理由としてはこうした状況で最も手数と時間をかけずにゴールを狙える選択肢だったからだ。

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2点目はボール回しの流れから