今治市だけではない。復命書の公開に神経をとがらせているのは、安倍政権も同じだ。

 農水省で備忘録の存在が明らかになった13日、国会内で野党合同ヒアリングが開かれた。野党議員は内閣府の担当者に対し、今治市の職員に15年4月2日の面会の内容を詳しく聞き取るよう繰り返し要求。ところが、内閣府の担当者は「相手方(今治市の職員)に聞くかについては、考えさせていただきます」など、ヒアリングの実施について明言を避けた。

 だが、このまま逃げ切るのは容易ではない。

 村上氏は今年3月28日、復命書が非開示となったことを不服として、全面開示を求めて行政不服審査請求を出した。今後は、民間人の学識経験者などで構成される第三者審査会で、今治市が「非開示」とした理由が正しいかについて議論される。復命書の中身は「首相案件」と書かれた備忘録が公表されたことで非開示とする理由が薄れており、審査会が「開示」の答申を出す可能性もある。

 今治市の担当者によると、審査会の結論が出るまでは「3カ月から半年程度」が多いという。全文開示となれば、安倍首相はこれまで以上の打撃を受けることになる。村上氏は言う。

「いま、日本の政治の問題点を示している文書が、今治市という小さな街に保管されている。だからこそ、復命書は国民に必ず公開されなければならない」

 今治市に、復命書を非開示にした理由を書面でたずねたところ、「2015年4月2日に愛媛県職員と本市職員が官邸を訪問したことは事実」と認めながらも、「今治市情報公開条例に基づき非開示文書としておりますので、具体的な内容等は差し控えている」との回答だった。

 安倍内閣が恐れるもう一つの決定的文書が公開される日は来るのか。(AERA dot.編集部・西岡千史)

※(編集部注)今治市から回答が届いたため、その内容を4月16日に追記した。