店舗で接客する柳川萌子さん。「日本人でも外国人でも、自分のお客さんを増やしたい」と話す(三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ提供)
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旺文社の開発担当者がサービス業100社近くにヒアリングを重ねた「英語応対能力検定」の教材、eラーニングのココマナ。免税手続きや電車の乗り換え方法など、業務で日々直面するシーンがふんだんに盛り込まれ、フレーズを繰り返し練習できる。販売コースのほか、鉄道コース、宿泊コース、飲食コースもある
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 大きなスーツケースをいくつも抱えた中国人観光客が、家電量販店やドラッグストアで買い占める……。そんな姿を目にする機会は、東京都心でも少なくなってきた。それでも訪日外国人は増え続け、日本政府観光局(JNTO)によると2017年には前年比19.4%増の2869万1,073人が日本を訪れている。

【画像】三越伊勢丹が導入した英語応対のための秘密兵器とは?

 観光庁のまとめでは消費額は前年から17.8%増えて、4兆4,162億円(確報値)となり、初めて4兆円を超えたことでも話題になった。だが、一人あたりの消費額は15万3921円で、前年日で1.3%減少している。この数字は「爆買い」が流行語大賞に選ばれた15年をピークに2年連続で減少しているのだ。

 消費額を国別で見ると、中国が最も高い23万円、次いでオーストラリア(22万6千円)、イギリス(21万5千円)。その中身は、日本製の家電や医薬品などを大量購入する「モノ消費」から、温泉やマンガの聖地巡礼といったサービスや体験などの「コト消費」へと変化している。「爆買い」終焉と言われる今、2020年の東京オリンピック・パラリンピックとその先を見据えて、最前線で外国人に接する職場で変化が起きている。

「変わらずニーズの高い化粧品を例にしても、以前よりも店頭でカウンセリングを受けて、より自分に合うものを提案してもらい、品質に納得いくものを購入される方が増えています。インターネットならクリックひとつで商品が買える時代に、わざわざ日本に来て、リアル店舗に来られている。求ているのは販売員とのより密なコミュニケーションや体験だと考えています」

 そう話すのは、百貨店大手・三越伊勢丹の人材開発を担う、三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズの安東和美さんだ。外国人客の消費行動は、日本人と差がなくなってきているのだ。本来、対面でのコミュニケーションは百貨店の得意とするところだが、多くの販売員を尻込みさせたのはやはり言葉の壁だった。

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半数は外国人客 指差し英語しかできず…