ダイエー打線は園川の前に4回まで2安打4三振無得点と空回り。一方、ダイエーの開幕投手・工藤公康は2回に一挙5点を失い、試合はロッテペースで進む。

 0対5の5回、ダイエーは浜名千広の2ランで2点を返し、さらに2死満塁としたが、江尻亮監督は園川に代えて吉田篤史をリリーフに送り、ピンチを切り抜けた。

 その後も河本育之、成本年秀のリレーで反撃をかわし、6対4で逃げ切り。見事王監督の鼻を明かした。

 あと1人で勝ち投手の権利を逃したものの、男の意地を見せて開幕投手の責任をはたした園川は「いろいろ言われて、書かれてなあ。だからこそ負けたくなかった。とにかく開き直って投げるしかなかったからなあ」と満足そう。

 一方、王監督としては「お前たち、悔しくないのか!」と自軍にハッパをかけるつもりで言ったのだろうが、それが回り回って、対戦相手を発奮させるという皮肉な結果に……。試合後は「簡単には勝たせてくれないことがわかった」と浮かない表情だった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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