「今季の成績だけ見れば小平。イ・サンファが小平に勝つ可能性は25%かもしれません。ただ、イ・サンファは序盤の100mが早く、そのスタートダッシュは錆びついていない。小平はその速さに食らいつき、引き離したい。そんな争いになるのでは」

 500mはまさに意地とプライドを賭けたレースになりそうな予感だが、イ・サンファ以外にも日本が警戒すべきスケーターが韓国にはいる。

 韓国女子中長距離のエース、キム・ボルムだ。もともとはショートトラックの選手だったが、17歳でスピードスケートに転向し、才能が開花した。昨季は平昌大会から五輪種目となるマススタートで、世界ランキング1位にもなった逸材だ。

 韓国ではその愛くるしいルックスから「スピードスケート界の妖精」(『THE FACT』)とされており、インスタグラムのフォロワーも多い。「アイドル顔負けの美貌」(『韓国経済TV』)とされている。

 今季は、腰の負傷で調子が上がらず、世界ランキングは10位まで落ちているが、地元開催の五輪に懸ける意気込みは強い。トレードマークの金髪からも、金メダルへの強い意気込みを感じさせる。マススタートに出場する日本の高木姉妹(菜那、美帆)、佐藤綾乃の前に立ちはだかる壁になることは間違いないだろう。

 もっとも、韓国とて日本女子スピードスケートには警戒心を強めている。

 韓国の『STAR NEWS』は世界のメダル有力候補を紹介する「平昌の注目」シリーズで、「“短距離最強”の小平、五輪初の金を狙う」として小平を500mと1000mの金メダル候補だと紹介しているし、『OSEN』は「日本スピードスケート中長距離の女王・高木美帆、平昌で3冠も視野に」として1500m、3000m、チームパシュートもしくはマススタートのうち3種目でメダルを狙える圏内にあると評価している。韓国にとっても、小平や高木美帆は脅威なのだ。

 まさに氷上で繰り広げられる“日韓戦”。女子スピードスケートの熱気に、平昌が熱く激しく盛り上がりそうな気配だ。(文・李ハナ)