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元SEALDsの諏訪原健「安倍政権の働き方改革の議論への違和感」

連載「20代の処方箋」

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諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

衆院本会議で施政方針演説をする安倍晋三首相 (c)朝日新聞社

衆院本会議で施政方針演説をする安倍晋三首相 (c)朝日新聞社

 加えて、近年はAIをはじめとする技術的進歩が、労働へ与える影響も様々な形で指摘されている。私自身は、今のところ人間の仕事の大部分がなくなるとまでは思わないが、働くといった時のイメージは相当変わるだろう。そう考えると「安定した仕事に就いて、お金を稼ぐ」、あるいはそのような家族がいるから安心して暮らしていけるというのは、もはや取り戻すことのできないユートピアではないかと思う。

 それにもかかわらず、日本の雇用、あるいは生活保障システムは、あいからず高度経済成長期のモデルから、本質的には転換できていない。具体的に言えば、企業と家族に依存したモデルが、今日に至っても基調となっている。「安定した仕事に就いて、お金を稼ぐ」ことができるという前提で、働くこと自体が生活保障の役割を果たしている。さらにそこでは、「伝統」的な家族像が想定されることで、家事や保育、教育、介護などは、家族(特に女性)によって保障されるものと考えられている。

 制度の中で想定される社会と、現実の社会に隔たりがあるからこそ、これまでの「標準」から外れてしまった人間は、困難にさらされることとなる。さらに言えば、想定される社会像が更新されないことは、今日に至っても依然として残るジェンダー格差や、保育や教育への公的支出に対する消極的姿勢などにもつながっている。

 今の社会を見た時、あるいはこれからの社会を考えた時、安定した雇用も、「伝統的」とされる家族像も、とても「普通」とは言えない。「働く」ということも、家族のあり方も、標準的なモデルを想定できないほどに、多様になっている。だからこそ、社会の変化をきちんと見つめて、多様な個人が生きやすい社会にするために、制度を設計し直していく必要があるのではないかと、私は思う。

 安倍政権の進める「働き方改革」も、もしかするとこのような問題意識があるのかもしれない。しかし現実には、どのようにして労働人口を増やすか、生産性を高めるか、あるいは子どもを産んでもらうかといったことに終始している。そこに見てとれるのは、あくまでもこれまでのモデルを踏襲した上で、いかに現状に適応することができるかという思考である。しかも、国家の繁栄が前面に出ることで、多様な個人を尊重するという観点は隅に追いやられている。それでは、根本的な改善にはつながらない。政治の場において、長期的な視野を持って、議論が積み上げられるべきだと思う。

 そして国会という場にも、若い世代がもっと増えてほしいと思う。現状では、バブル経済の「豊かさ」を享受してきた男性の国会議員が大勢を占めている。その意味では、「しっかりとした仕事に就いて、お金を稼ぐ」のを当たり前に感じてきた人が多いと思う。もちろん世代内でも格差は存在してきたので、安易な世代間対立にはしたくないが、今の国会議員がどれだけこれからの社会にリアリティがあるのかは正直、疑わしいし、若い人たちの意見が反映されていないことに違和感がある。問題が複雑だからこそ、多様なバックグラウンドを持った人々が意見を出し合いながら、長い時間をかけてでも、改善の道を切り開いていく必要があると思う。(諏訪原健)


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諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

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