理念強化配分金によりJクラブの差がつくのは豊富な資金を生かして国内で選手を獲得していくことだ。日本ではあまり好まれない傾向にあるが、リーグ内の他クラブで活躍した選手を引き抜くというのは上位クラブの資金力が上がれば、そうしたことが当然増えてくるだろう。

 そうしたことからも常に1~4位で優勝争いできるクラブであれば、日本にもビッグクラブが誕生していくベースになっていくはず。普通に考えれば理念強化配分金を戦力補強に有効活用しながら、一部は施設拡充や下部組織の強化に投じていくといった、バランスの取れた理念強化配分金の活用は可能だ。

 2016年度の川崎の人件費が16億4300万円でJ1の9位だったことからも、お金が必ずしも成績を反映するわけではない。ただ、最も人件費が高かった浦和でも23億8100万円、6番目の鹿島でも19億2900万円と、それほど大きな差が無い中での逆転にすぎない。それが理念強化配分金により、1位と5位ではそれまでの人件費がほぼ同額だったのが、いきなり倍の差になる可能性もあるわけで、間違いなくインパクトは大きい。

 まずは最初に15億5000万円の理念強化配分金を手にする川崎の選択というのは注目されてくるが、“DAZNマネー”により生じて来る格差が優勝を勝ち取ること、少しでも上の順位を狙うモチベーションへの効果も期待していきたい。(文・河治良幸)