内村光良 (c)朝日新聞社
内村光良 (c)朝日新聞社
明石家さんま (c)朝日新聞社
明石家さんま (c)朝日新聞社

 11月13日、年末の『NHK紅白歌合戦』の司会者が発表された。紅組司会は有村架純、白組司会は嵐の二宮和也、総合司会はウッチャンナンチャンの内村光良に決まった。総合司会をNHKのアナウンサー以外が務めるのは過去にもほとんど例がなく、その役目を芸人が担うのも1983年のタモリ以来34年ぶりとなる。コント番組『LIFE!~人生に捧げるコント~』での貢献が評価されたのだろうと想像はできるものの、まさかのサプライズ人事だった。

【写真】若手芸人が緊張してしまう大御所とは?

 NHKが内村を起用した理由は、幅広い世代に支持されている上に、好感度も高いからだろう。最近の『NHK紅白歌合戦』では、バナナマンが副音声で実況を担当したり、曲の合間に芸人同士のコント的なやりとりがあったりと、バラエティ化が年々進められている。お笑い界の大御所である内村が総合司会を務めることで、その動きはさらに加速することになるはずだ。

『LIFE!~人生に捧げるコント~』では、内村扮する「NHKゼネラル・エグゼクティブ・プレミアム・マーベラス・ディレクターの三津谷寛治」というキャラクターが登場する。NHKのコント番組でNHKそのもののお堅いイメージをネタにしているこのキャラクターは、『LIFE!』の公式サイトで内村の総合司会決定にコメントを寄せている。『紅白』の舞台で彼が出てくる可能性も十分ある。

 内村は『世界の果てまでイッテQ!』『痛快TV スカッとジャパン』など数々の番組でMCを務めている。ただ、彼をとんねるず、ダウンタウン、ヒロミなどの他の同世代の芸人と比べたとき、決定的に異なることがある。それは、徹底して「薄味」であるということだ。

 とんねるずやダウンタウンは明らかに味付けが濃いタイプだ。彼らの番組は、どれを見ても彼ら自身の個性が強くにじみ出ている。だからこそ、多くのファンに熱烈に支持される一方、それが口に合わないという人も一定数現れることになってしまう。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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