「彼女は、『売名行為だ』『女もその気だったはず』とバッシングを受けた。「『女はNOを言うもんじゃない』という妙な文化を、もっと前に壊しておかなければいけなかったと、申し訳ない気持ちがします」

 電車通学をしていた高校生のころは、痴漢も日常茶飯事で女子生徒はみな手に安全ピンを持って自衛していた。痴漢やセクハラを「よくあること」と蓋をしてきたのは、間違いだったんじゃないか。そう考えているうちに、つい先日も、ある女子大生から「就職の相談をした人に『愛人になれ』と言われた」と打ち明けられた。

「私の若い頃とちっとも変っていない。30年も経ってるのに。これ以上、女の子たちに我慢させたくないです。嫌なことはハッキリNOと言い、NOと言われたらNOなんだとちゃんと理解する、まともな人間関係を作るべき。#metooは、いいきっかけになると思います」

 伊藤さんは被害を受けた2015年、警察へ告訴。男性は準強姦容疑で捜査されたが、嫌疑不十分で不起訴処分となり、検察審査会に不服申立てるも、今年9月に「不起訴相当」となっていた。だが、捜査や検察審査会のあり方を検証するため国会議員による「超党派の会」が今月21日に発足。政治は超党派で動き始めている。

(AERA dot.編集部・金城珠代)