綾瀬はるか (c)朝日新聞社
綾瀬はるか (c)朝日新聞社

 苦戦する今クールのドラマの中で、オリジナル作品でありながら、比較的視聴率がいいのが「奥様は、取扱い注意」(日本テレビ系)だ。毎回リアルタイム視聴率で11%を超えており、録画での視聴率も高いようで、合わせると毎回20%近い数字となっている(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 このドラマは綾瀬はるか(32)、広末涼子(37)、本田翼(25)などのキャスティングもさることながら、人も羨むようなセレブ妻であるはずの綾瀬はるかが、実は元工作員だったという意外な設定に、視聴者の評判も上々だ。

「このところ、日テレ水曜22時のドラマは、女性の内面に焦点を当てたエンタメ作品が多かったのですが、女性のアクションという選択肢でくるとは思わなかった。ドラマの作りは、いかにも女性視聴者を狙ったかわいい作りで、タイトルも『奥さまは魔女』のオマージュでヒロインが特殊能力で物語を解決していく……というイメージなのですが、まさかの武闘派アクションというあたりの裏切りが、気持ちいいですよね」(テレビ情報誌の編集者)

 女性が好むキャラやテーマ設定の上に、骨太なアクションをかけ合わせる――これらの原案・脚本を手掛けたのが、最近、積極的にドラマの脚本を手がけている作家の金城一紀(49)だ。

「小説家として有名だった金城さんはもともと映画『フライ、ダディ、フライ』ではじめて原作と脚本を担当し、その後、岡田准一(36)とのタッグで映画にもなった『SP』(フジテレビ系)では、自ら企画を持ち込んで、大ヒットしましたね。また、小栗旬(34)とタッグを組んで代表作になった『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』シリーズ(テレビ朝日系)や『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)などコンスタントに映像作品に関わり、どれも視聴者からの評価も高い。今回は、満を持しての女性主人公ですが、やはりアクションを盛り込んできた。超能力や特殊工作員といった“少年”っぽい設定が、いかにも金城さんらしいですよね」(文芸誌の編集者)

 固定ファンの存在と売り上げ部数を見れば視聴率がある程度予想できるということで、小説原作ものが相変わらずドラマ業界では主流となっている。しかし、それがさらに進み、今では最初から作家と組んで、ドラマを作るパターンもあるようだ。

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