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「医学部定員増」を骨抜きにした厚労省と医師会、医学部長たちの「打算」

連載「メディカルインサイト」

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■国民の健康より利益優先

 国民にとっての不幸は、厚労省と、日本医師会や医学部長たちの利害が一致してしまったことです。彼らは国民の健康より、自らの利益を優先しています。

 厚労省は、医学部新設のために、財務官僚と対峙したくありませんし、日本医師会や医学部長たちはライバルを増やしたくありません。

 ただし、彼らも医師不足対策に全く努力しないわけにはいきません。その際の言い訳に使うのが、舛添要一厚労大臣時代にやった医学部定員の増員です。

 そして、これさえも骨抜きにしようとしてきました。

 舛添氏は厚労大臣当時、今後10 年間で、医学部定員を5割増やすことを決定しました。医学部定員数が1万2000人になるまで、毎年400人ずつ定員を増やそうとしていました。2009年に与党となった民主党もこれをマニフェストに明記し、舛添氏の方針を踏襲しようとしました。

 しかし、この方針はやがてうやむやになっていきます。医学部定員が当初の予定通り増員されたのは10年度までで、11年度には77人の増員に減らされました。東日本大震災で東北地方の医師不足が顕在化したにもかかわらず、医学部定員の増員にはブレーキがかかったのです。民主党内で医学部定員増を進めてきた仙谷由人氏や鈴木寛氏の影響力が低下したからです。これでは慢性的な医師不足を解消できるとは思えません。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋


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上昌広

上昌広(かみ・まさひろ)/1968年生まれ。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長。医師。東京大学医学部卒。虎の門病院や国立がんセンター中央病院で臨床研究に従事。2005年東京大学医科学研究所で探索医療ヒューマンネットワークシステムを主宰。16年から現職。著書に『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など

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