野党再々編のキーマンとして期待されている岡田克也元外相 (c)朝日新聞社
野党再々編のキーマンとして期待されている岡田克也元外相 (c)朝日新聞社
選挙後の野党再々編から距離を置く枝野幸男立憲民主党代表(撮影/西岡千史)
選挙後の野党再々編から距離を置く枝野幸男立憲民主党代表(撮影/西岡千史)

「どうしてこうなっちゃったんだろうね……」

 ある民進党の閣僚経験者の嘆きは深まるばかりだ。

 民進党は10月27日に両院議員総会を開き、前原誠司代表の辞任を正式に発表した。選挙前に民進党の公認をすべて取り消し、希望の党への合流を決断したことについて前原氏は、「結果を伴わなかった。正しかったとはいえない」と陳謝した。

 だが、前原氏が辞任について「一定の方向性を定めてから辞任させていただく」と時期を明確にしなかったことで議論が紛糾。党内には当日午前から「前原氏は12月まで辞任せず、党を分党するつもりだ」との未確認情報も流れ、総会では前原氏への批判が噴出した。

 総会終了後、小西洋之参院議員は「前原代表のやったことは総会の決定に背く反党行為。10月30日に辞任をしないようであれば、(前原氏への処分を求めて)党内の倫理委員会に申し立てる」と記者団に話し、さらなる波乱が起きる可能性も残されている。

 民進党のベテラン議員は言う。

「前原氏の言っていることは安倍首相以下の答弁で、メチャクチャ。選挙敗北の責任者がなんで事務作業をやるのか。まったく意味不明だ」

 結果的に、前原氏は30日に開かれる全国幹事会の後に辞任時期を表明することを約束し、民進党の組織は現状のまま残し、100億円以上あるともいわれる党資金も他党に移動させないことが決まった。ある民進党議員は「野党で一つの塊を作るために、民進党の組織がブリッジになる」と、その意図を説明する。

 すでに10月26日には無所属で当選した13人が新会派「無所属の会」を結成、会派代表に岡田克也元外相が就き、衆院事務局に届け出た。無所属当選組の一人である前原氏は代表辞任後、希望に合流することを表明している。

「前原さんが合流してから希望の党の共同代表を選ぶことになる。連絡はとっています」(民進党出身の希望の党議員)

 民進党はこれで「立憲民主党」(以下、立民)、「希望の党」「民進党参議院」「無所属の会」の4分裂状態となった。世間には複雑怪奇な動きにしか見えないが、ここには「永田町の論理」による思惑がにじむ。

 現行制度では、原則として比例代表で当選した議員は比例の同一ブロックで候補者を出した政党に移籍することができない。つまり、小選挙区で落選し、比例で復活当選した希望の議員は、立憲民主党に移籍できない。それでも「泣く泣く希望に行った議員はたくさんいる」(前出のベテラン議員)ため、今後、希望から離党者が出た場合、無所属の会が受け皿となる。岡田氏も24日に自らのブログで「立憲民主党や希望の党と協議し、協力しながら、野党の大部分が1つの大きな塊となることを目指していきたい」と述べている。

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