「キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書や貸借対照表と並ぶ『財務3表』の一つで、“会社の現金の出入り”を記録したものです。これを見れば、どこからどれだけ会社に現金が入ってきたか、そして会社がどこにどれだけ現金を使ったのかが、わかります」

 キャッシュ・フロー計算書は、「営業」「投資」「財務」の3つのカテゴリーに分かれており、投資キャッシュ・フローを見れば「工場や設備などの拡充にどれだけの現金を投じているか」がわかる。つまり、投資キャッシュ・フローがマイナスであれば、その会社は今後も持続的に成長を続けられる可能性が高いといえる。

「ただし、ベンチャー企業などでは、多額の借金をして投資している場合もありますから、『投資しているから将来は安心』というわけでもありません。営業や財務のカテゴリーも見て、『投資のための金をどのように調達しているのか』を確認することも重要です。会社の健康状態を正しく分析したいのであれば、収益性、安全性、成長性の“3つの視点”をもつことが大切です」

 10月6日に内閣府が発表した景気動向指数により、2012年12月に始まった景気拡大局面(アベノミクス景気)が、戦後2番目の「いざなぎ景気」(4年9か月)に並ぶことが確実になった。しかしこの期間、国内企業は、設備投資にも、従業員の賃上げにも消極的だった。その結果として、内部留保のうち現金が増加を続けている。

 この影響が数年後にどうでるか、多くの人にとっても他人事ではないだろう。(文・澤田憲)