広島が1位指名を明言している広陵・中村奨成 (c)朝日新聞社
広島が1位指名を明言している広陵・中村奨成 (c)朝日新聞社

 今月26日にいよいよプロ野球新人選択会議(ドラフト)が開催される。今年は早稲田実業の清宮幸太郎や広陵の中村奨成をはじめ、高校生の逸材が光る。各球団はどのような思惑でドラフト会議に臨むのか、探ってみよう。今回は今季セ・リーグで連覇を達成した広島東洋カープだ。

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 37年ぶりにセ・リーグを連覇した広島は若手の育成がうまく循環している。

 フリーエージェント(FA)に頼らないチーム作りが若手を育てる意識へとつながり、次から次へと1軍で活躍する選手が生まれる。ファームから育っていった選手たちを見ているから、目標設定がイメージしやすいのだろう。緒方孝市監督の選手起用法も、昇格した選手は必ず試す機会を与えるなど、チームの循環を円滑に進めようという気概がうかがえる。それが黒田博樹の引退や、シーズン中に主力の離脱者が出ても、それを補うだけの人材創出へつながっていた。

 そのため、新人獲得についても余裕が生まれているのは間違いない。左腕投手の全体層に一抹の不安要素はあれども、これといった穴が見つからないのである。いわば、将来性を見据えた高校生を重視しても何ら問題がないわけである。

 そんな中での補強ポイントは二遊間の右打者、左腕投手、長距離打者というところになる。

 広島は早々に清宮幸太郎(早稲田実)獲得からの撤退を表明した。それは話題となっている彼の守備力ではなく、全力疾走しない姿が広島には合わないと判断したというところだろうか。これは力量云々ではなく、スタイルの違いだ。

 そして、広島は中村奨成(広陵)の1位指名を明言している。

 シーズン終盤になってルーキー捕手の坂倉将吾が1軍デビュー。プロ初安打初打点を記録している。だから、捕手を慌てて指名する必要性は感じない。ただ、スカウト統括部長の苑田聡彦氏が中村を内野手としての評価もしているとコメントしていただけに、内野手育成という部分においても中村は適任者だろう。

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