阪神が狙うべきは清宮よりも広陵・中村奨成だろう。(c)朝日新聞社
阪神が狙うべきは清宮よりも広陵・中村奨成だろう。(c)朝日新聞社

 今月26日にいよいよプロ野球新人選択会議(ドラフト)が開催される。今年は早稲田実業の清宮幸太郎や広陵の中村奨成をはじめ、高校生の逸材が光る。各球団はどのような思惑でドラフト会議に臨むのか、探ってみよう。今回は今季セ・リーグ2位の阪神タイガースだ。

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「超変革」のキャッチフレーズのもと、育成に特化した阪神はこの2年で若手が台頭してきた。

 中谷将大、大山悠輔、原口文仁…

 特にクリーンアップを打てる選手の成長ぶりは目を見張るものがある。若手の躍動こそチーム作りの根幹であることを感じているに違いない。そうしてドラフトで獲得した選手が育ってきたチームに生まれ変わりつつある阪神が今年のドラフトどういった選手を狙うのか興味深い。

 そんな阪神の補強ポイントを探ると、1番手に挙げたいのは高校生の捕手だ。

 現チームの捕手は梅野隆太郎、坂本誠志郎がマスクをかぶっているが、世代がそれほど離れていないため、若い世代の補充が欲しい。加えて、梅野と坂本の2人は守備面に持ち味を発揮する捕手でバッティング面はやや課題がある。強肩強打になり得る捕手はチームとしては、ぜひとも獲得したいはずだ。

 候補の1人目は中村奨成(広陵)だ。

 中村はこの夏の甲子園6本塁打の大会記録樹立など、強肩強打の捕手と注目された。ボールへのアジャスト能力や逆方向へ打ち分けるセンス、そして長打力とそのバッティングに対する評価は高い。守備面においても、二塁送球で見せるスローイング、バント処理のフットワーク、キャッチングなど高校生トップレベルだ。報道などでは阪神は清宮幸太郎(早実)の指名を明言したというが、真っ先に指名するべきは中村だろう。

 ただ、中村の指名につきまとうのは他チームとの競合だ。すでに広島が1位指名を明言しているだけに悩むところだろう。今年のような上位候補が少ない年は戦略的なドラフトが必要だ。

 そこで考えられるのがもう1つの選択肢、中村を回避して同じ高校生の捕手を一本釣りするウルトラCだ。

 九州学院の捕手・村上宗隆は強肩強打の捕手として上位指名が有力視されている。

 村上は清宮フィーバーで湧いた2015年夏、1年生ながら甲子園に出場している。この一度きりしか甲子園に出場できなかったものの、清宮と並ぶ将来のスラッガー候補として注目された。1年秋からは捕手としてチームをけん引。強肩強打の捕手としてスカウトからの評価も高い。

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