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自民・希望・民進「誰も得しない」? 橋本治が衆院選を切る

橋本治(はしもと・おさむ)/1948年東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞。評論家としても活躍。『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、『三島由紀夫とは何者だったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、『双調平家物語』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。近著に『たとえ世界が終わっても』『知性の顛覆』『いとも優雅な意地悪の教本』等

橋本治(はしもと・おさむ)/1948年東京都生まれ。東京大学文学部国文科卒業後、『桃尻娘』で小説現代新人賞佳作を受賞。評論家としても活躍。『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、『三島由紀夫とは何者だったのか』で小林秀雄賞、『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、『双調平家物語』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。近著に『たとえ世界が終わっても』『知性の顛覆』『いとも優雅な意地悪の教本』等

――いわゆる「リーダー不在」や「リーダーシップの欠如」ではなくて「リーダーに従おうという能力がない人たち」ですか? あまり耳にしたことのない言い方ですが……。

橋本:そう、だから蓮舫を代表に選んで「これからは彼女を看板にしてがんばっていこうね」って決めたその瞬間から、足を引っ張る人たちが出てくるし、菅直人や鳩山由紀夫の時だってそうだったでしょ? 誰かがトップになると、必ず他の連中がその足を引っ張りたがる。さして知名度もない「あなた一体、何様ですか?」っていう人たちが、勝手に「自分は偉い」と思い込んでいて、ハナっからリーダーに従おうという意識すらない。これはリーダーシップの欠如じゃなくて「リーダーに従おうという能力」の欠如なんですね。

 それを、自民党と比較すると分かりやすいと思うんだけど、自民党は未だに「前近代」的な構造だから「ボス」がいるんですね。しかも彼らは「ボスに従っていれば必ず得がある」ってコトを知っていて、基本、この原理で動いている。ところが民進党やその母体だった民主党は「民主主義の時代」に育っちゃったから「リーダー」が持てない。中身のない平等意識ばかりあって「目的のために他の誰かに従う」という感覚そのものがない。それを私は「リーダーに従う能力がない」と言っているんですけどね。

 そうなると当然、民主党や民進党は「突出したリーダー」を持つことができないし、それでも「まとまろう」とすると、外から誰かを連れてきて、党全体をその人に丸ごと預けちゃうしかない。以前、鳩山由紀夫が小沢一郎を連れてきたときもそうだったし、今回の前原が小池にすべてを捧げちゃったのも、基本的にはおんなじコトを繰り返しているだけでしょ。まぁ、今回はその結果、分裂してバラバラになっちゃったけど、彼らはもともとリーダーを持てないバラバラな人たちだから(笑)。

 で、ここからようやく『知性の顛覆』で書いた話にも繋がってくるんだけど、そういう民進党の姿って、ある意味「日本の民主主義」の姿を反映しているんですよ。つまり、日本人や日本の社会には未だに「近代的な意味でのリーダー」を持てるような成熟がない。そのため、「前近代」的な自民党のように、昔ながらの「ボス」に従い続ける人たちと、民進党のように「リーダーを持てない人たち」、烏合の衆で「俺が」「俺が」と自己主張を繰り返しながら、最後は数合わせで何とかなると思っているような人たち……に二分されている。


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