――日本人が本当の意味で「リーダーを持てる」、あるいは「リーダーに従う能力」を身につけるために、どうすればいいのでしょう?

橋本:結局、自分が成熟したアタマを持つだけなんですよね。だからね、例えば小池百合子が新党を作って、その代表になるというのなら、そういう「成熟したアタマ」を持つ議員をいかに育てるかが本当は勝負所のはずなのに、彼女はそれを「自分の手駒」としか思ってない。

 前回の「バットマン VS スーパーマン」の話でも「父権制の転覆」っていう話をしましたけど、今の世の中って「父親が死んだ」「指導者はもうこない」……っていう時代なんですね。それって例えるなら、両親を失った兄弟が「じゃあ、これからは兄ちゃんを中心にしてやっていこう」とか「とりあえず姉ちゃんを中心にがんばろう」……って、そういう便宜的な取り決めを作りながら、協力して生きていかなきゃいけない状況なわけです。

 ところが「リーダーに従う能力がない人たち」は、平等の意味を取り違えているから、ともかく「他人が自分の上の立つこと」自体が不愉快で我慢ならない……というヘンな民主主義に陥ってしまっていて、既にリーダーという感覚が分からなくなっている。だから、何かをするために、まずリーダーという「核」を作り、その核を中心にみんなが考えを持ち寄りながら、集団で物事を動かしてゆく……というコトができないし、そもそも「核」を作ることの意味が理解できないんですね。

 よく「民主主義は欺瞞的だ」という人がいるけれど、それは今の民主主義の在り方を言っているのであって、本来の民主主義の話じゃないんです。その意味では、今回の選挙で目の前に起きているモロモロの景色も、日本人や日本の社会が未だに「成熟した民主主義」から遠く離れた場所にいる……ということを、分かりやすく象徴しているんだと、私は思いますね。(取材・構成/川喜田研)

※次回は27日(金)配信予定