老け込んだ親の姿にハッとしたことはありませんか? そんな親のきもちや行動を、もしかしたら私たちは誤解しているかもしれません。大阪大学大学院教授で、老年行動学を専門とする佐藤眞一先生のやさしい文章と、まんが家・北川なつさんのマンガで、老いた親のきもちをわかりやすく解説した『マンガで笑ってほっこり 老いた親のきもちがわかる本』(朝日新聞出版)から、いくつかのアドバイスを紹介します。第7回は「いくつになってもスケベなまま」です。

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 日本ではタブー視されがちな性の話題。思春期の子どもならともかく、高齢の親の性的な言動は戸惑うものです。隠し持った「エッチな本」などを見つけてしまった時などは、衝撃を受けてしまうことでしょう。

 しかし、「高齢になると、性的な欲求はなくなる」という考えは、はたして正しいのでしょうか?

 確かに、加齢とともに性的な欲求が抑えられるのは事実です。特に女性の場合は、閉経とともに女性ホルモンのエストロゲンが減少し、性的欲求が顕著に抑えられる傾向があります。ところが男性の場合は60代後半頃までは、顕著に抑えられることはほとんどありません。このため、夫婦間で不和を引き起こすケースも、じつは珍しくないのです。

 性的欲求は相手あってのことで、相手を不快にさせるような行動はもちろん好ましくありません。しかし双方が合意の場合は、生きるエネルギーをもたらしてくれるものです。介護施設の利用者の中にも、パートナーを見つけることで心身ともに驚異的な回復を見せる人がいるといいます。

 親の性的欲求も過度にタブー視することなく、「元気の証」と受け取るほうがよいのです。

【Happyアドバイス】
高齢の父にも性的欲求はある。
「お父さん、まだまだ元気ね!」
と、温かく見守ろう。