仮に、あなたが、人間関係に疲れて、会社を辞めようか続けようかと迷っているとしましょう。

 こんな時、二者択一思考ではなかなか結論が出にくい。その結果、悩む時間が長びき、苦しみが大きくなってしまいます。

 また、二者択一で悩み続けて、結果的に会社を辞めることになった場合。自分で選択したものではなく、「不幸にも追い詰められて選択せざるを得なかった自分」になってしまいます。こうなると「自信」が低下し、後悔、不安、悲しみ、恨みなどの「不快感情」が続くという悪循環になりやすいのです。

■「7~3バランス」の思考法を練習しよう

 どんな問題に対応するときも、「本当はこうなりたくなかったのだが、追い込まれて、こうなってしまった」という“追い詰められ感”を持つと、苦しみが大きくなります。逆にいえば、結果的にあまり良くない状況になっても、「自分が、選んだのだ」という感覚があれば苦しみはグッと減らせるのです。

 そこで、「極端」を避け、自分の行動を選びやすくするのが「7~3バランス」の思考法です。自分自身の行動を、7~3のバランスに収める、という思考を持つものです。

 例えば先の事例。「現状のまま会社に残る」「会社を辞める」は、いずれも極端な案です。「7~3バランス」というのは、どちらかの案を0、もう一つの案を10とした時に、7から3の間の行動を考えてみる、という思考法です。

 0や10の極端な姿なら、確かにメリットは明確ですが、その分苦しみが大きい。でも、7~3の間なら、メリットはやや減少しますが、その分苦しみは少ないのです。

 そこで、「7~3バランス」に入る選択肢、例えば「人事に相談する」「転職の面接を受ける」などを、無理やりにでも考えてみる。極端でない分、選びやすく行動にも移しやすいし、現状に対する我慢のエネルギーの消耗も防げます。

 疲れてエネルギーが低下しているときこそ、この7~3バランスを思いだして、極端な行動を避けることが大事です。7~3バランスの中で、行動を意識的に選んでいくこと、「自分で選んだ」という感覚は、被害者意識の拡大も防いでくれます。

 0か10かという「白黒思考」に慣れている人は、面倒くさいと感じるかもしれませんが、この思考法に慣れて行動したほうが、長い目でみたら“省エネ”であり、人生がうまくいく確率が高まります。(文・構成/向山奈央子)