圧倒的なパフォーマンスを見せた巨人・菅野 (c)朝日新聞社
圧倒的なパフォーマンスを見せた巨人・菅野 (c)朝日新聞社

 今シーズンも残すところあとわずか。優勝争いはセ・パともに“独走”で決まったが、個人タイトルの争いはまだまだ逆転可能!? 今回は投手陣を見てみたい。(成績は9月23日終了時点)

 まずはセ・リーグ。今季は菅野智之(巨人)が圧倒的なパフォーマンスを披露し、16勝5敗、防御率1.64で最多勝と最優秀防御率の2冠が確実だ。防御率のタイトル獲得は2年連続自身3度目となるが、最多勝獲得となれば自身初。1年目に13勝を挙げて以降、12勝、10勝、9勝と年々勝ち星が減少していただけに、菅野にとっても悲願のタイトルとなる。

 加えて、最多奪三振と勝率第1位の可能性もわずかに残すが、三振数ではマイコラス(巨人)が178でトップ、菅野は167の2位。勝率(現地点で規定投球回数以上)は田口麗斗(巨人)が勝率.800(12勝3敗)でトップに立ち、菅野は勝率.762という状況だ。

 最多セーブ部門では、ドリス(阪神)が35セーブでトップに立ち、それを田島慎二(中日)が33セーブで追っている。最優秀中継ぎ争いでは、マテオ(阪神)が42ホールドポイント、桑原謙太朗(阪神)が41ホールドポイントとチームメイト同士の争い。阪神は残り9試合で、中日は残り8試合。試合展開や起用法など、ある程度の“運”が必要となるが、最後の最後まで決着は付きそうにない。

 昨季と比較すると、最多勝と勝率第1位の2冠を獲得した野村祐輔(広島)は今季無冠。37セーブを挙げて初のセーブ王に輝いた澤村拓一(巨人)は今季1軍登板なし。その他、田口が12勝3敗の好成績を残し、秋山拓巳(阪神)も12勝6敗と再飛躍したが、菅野が名実ともに頭一つ抜け出した2017年になっている。

 同様にパ・リーグでは、菊池雄星(西武)が15勝6敗、防御率2.00、208奪三振で最優秀防御率と最多奪三振の2冠が濃厚。前回登板では発熱で途中降板し、その後にリリーフ陣が痛打されて勝ち星を逃した不運があったが、それでもリーグトップの東浜巨(ソフトバンク)の16勝とは1勝差。3冠の可能性も残している。ただ、最多奪三振では13個差の195で則本昂大(楽天)が追っており、最後まで僅差の争いになりそうだ。

 勝率1位はチーム成績が大きく反映され、勝率.762(16勝5敗)の東浜と勝率.714の菊池の争い。リリーフ陣も優勝チームの強さが光り、サファテ(ソフトバンク)が現在51セーブでプロ野球記録を更新中。中継ぎでも、岩嵜翔(ソフトバンク)が球団記録の45ホールドポイントで断トツのトップ。この2人のタイトル獲得は揺るぎないところだろう。

 昨季との比較では、先発のタイトルを分け合った和田毅(ソフトバンク)が故障離脱、石川歩(ロッテ)が不振で成績低迷。高卒ドラフト1位入団から8年目、二段モーション論争に見舞われながらも、期待され続けてきた黄金左腕の菊池がついに覚醒し、エースとしてひと皮むけたシーズンになった。