思い切って当選2回の若手、山尾志桜里氏を抜擢することにしたのは、ベストな選択だと思う。

 山尾氏は、待機児童問題の国会論戦で安倍総理をコテンパンにやりこめたことで一躍知名度が上がった。2016年の民進党結成時には政調会長にも抜擢された経験がある。元々、保守派の前原氏に非常に近いが、有権者には脱原発派のリベラルというイメージが強く、タカ派の前原氏と並べばより広い支持層へのアピールになるだろう。

 ただし、山尾氏を起用するだけではまだ足りない。前原氏や党のベテランが、幹事長に実質的に大きな役割を与えられるかどうかが次の課題となる。若手登用をしても、それをただの人寄せパンダに終わらせては、むしろ批判のターゲットとなるだけだ。山尾新幹事長が独自色を出して、例えば脱原発政策をより強く打ち出すなど、民進党の「変革」をアピールし、それをベテランが支えるという体制ができるかどうか。それが、再生への第一歩だが、逆に、山尾氏の大胆な動きをベテランが抑え込むようなことになれば、一気にメッキがはがれて、とりわけ有権者の離反を招くリスクもある。

◆10月のトリプル補選で脱原発を掲げられるか?

 新代表が役員人事と並行して直ちに対応を迫られるのが10月22日の3つの衆議院補選である。告示が10月10日だから、ほとんど対応の時間がない。蓮舫代表時代は、うまく行かないときは「県連の意向を尊重」と言って、党本部の責任を逃れようという姿勢が目立った。昨年10月の新潟県知事選でも、そういう逃げ口上を使おうとしたが、結果は、民進党を離党して民進党を除く野党共闘に乗った米山隆一氏が勝ち、その対応のまずさに批判が集まった。
 今回の愛媛、青森、新潟の衆議院補選は国政選挙だから、県連任せとは行かない。そうなると、新代表には3つの踏み絵が迫る。

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