まず、代表選でも争点の一つとなった野党共闘路線をとるかどうかだ。前原代表は枝野氏に比べると野党共闘に消極的な態度を取ってきた。特に、基本的理念の異なる共産党との共闘には否定的だ。最近の離党者の多くが共産党との共闘を批判していたこともあり、この路線を変更して離党ドミノを止めたいという気持ちもあるだろう。

 一方、今回の3補選では、共産党と別の候補を立てて戦えば、全敗の可能性も高い。そうなれば、前原代表の求心力はいきなり地に落ちることになる。野党共闘に踏み切る大局的判断ができるかが試金石となる。

 3補選ではもう一つ難しい課題がある。原発ゼロの政策をどう掲げるか。今回は時間的制約もあり、党としては、とりあえずは「30年代ゼロ」方針を大きく変えることは難しいが、言葉の「レトリック」と山尾氏という「看板」で脱原発のイメージを演出することは可能だ。問題は、民進党の従来の政策を超えて、個々の候補者がより積極的な原発ゼロ政策を唱えようとしたときにどうするか。それでは支持できないとするのか、30年代より前倒しする公約でも容認するのかが問われるが、ここでは思い切って、前倒し支持の候補を支援することで、民進党の大きな変化を打ち出したいところだ。それができれば、選挙の勝利も大きく近づくだろう。

 そして、3つ目の難題が、野党共闘や原発政策との関係で連合との調整が整わない場合にどうするかだ。昨年の新潟県知事選では、原発推進の連合に気兼ねして米山候補の支持に回れなかったという苦い経験がある。今回は、連合が反対しても独自判断で野党共闘候補者の選定ができるかどうか。逆に連合の影響で野党共闘を拒否したり、原発政策を抑制させたりすれば、有権者や他の野党からも主体性のなさを攻撃されることになるだろう。

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