今秋から冬にかけての野党再編をどう乗り切るのか

 以上は緊急課題だが、その後には、もっと大きな難題が待ち構えている。それは野党再編だ。

 この秋にも設立されるいわゆる「小池新党」は、タカ派色が強い政党になるだろう。枝野氏が代表になっていたら野党共闘路線などに反発して、保守派議員の大量離党もあっただろうが、前原氏の選出で若干の抑止力にはなったと思われる。

 しかし、トリプル補選で全敗という結果に終われば、将来不安で、選挙基盤が弱い若手を中心に離党の動きが加速するだろう。また、離党した細野豪志氏や長島昭久氏と連携する議員がやはりグループ単位で離党して小池新党に合流する動きは避けられないものとみられる。

 何しろ、ほぼリベラルと目される議員でも、今や真剣に小池新党への合流を考えている人がいるくらいだ。その議員は私に力強くこう言った。

「タカ派でも何でも、とにかく選挙に勝たせてくれる党に行きたいと思うのは当然ですよね。民進党で戦ったら私は確実に落ちますから。そういう仲間は他に何人もいます。ただ、小池新党が入れてくれるかどうかがわからないんです。入れてくれるとわかればすぐに行きますよ」

 こうした状況を見れば、小池新党に合流しようとする民進党議員はかなりの数になるのはほぼ確実だ。その場合、民進党は旧社会党のように、事実上の解党の道をたどるだろう。

 そうならない一つのカギは、3補選で少なくとも2勝できるかどうか。

 もう一つのカギは、小池新党が、民進党議員を幅広く受け入れる作戦をとるのか、あるいは厳選する方針をとるのかということだ。民進党議員を幅広く受け入れれば、当然、解散総選挙では、それらの議員の選挙区で自民党と対立し、ほぼ全面戦争になるだろう。小池氏がその道をとるのかどうか。もし、自民党との関係を考えながら、制限的に受け入れる方針を取るということになれば、離党したくても移る先がないので党内にとどまるという議員が増える可能性もあり、その場合は、民進党の解党はもう少し先に延びることになるだろう。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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