だが、その吉田にしてもスピード対応が死角になっている。その意味で期待を集める存在が昌子源(鹿島)だろう。昨年末のFIFAクラブワールドカップで世界の猛者を相手に圧巻の守りを披露。レアル・マドリード(スペイン)との決勝では、当代随一の名手クリスティアーノ・ロナウドとの1対1でも負けなかった。

 速さで振り切られる危険が少ない分、敵を近くに置いて守ることができる。だから、縦パスに対する寄せも速い。182センチと大柄ではないが、運動能力の高さを生かして空中戦にも強い。球を奪った後のビルドアップに磨きがかかれば、鬼に金棒だろう。籠城戦でも、野戦でも、等しく戦えるゼネラリストだ。

 昌子は代表歴こそ浅いものの、場数を踏めば、日本ディフェンス陣の大黒柱となっていい。かつて日本代表の司令塔として活躍した名波浩(磐田監督)も「現在の日本で最高のセンターバック」と太鼓判を押す。数年後には歴代センターバックの中で最も『万能人』に近づく存在となるのではないか。(文・北條聡)