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古賀茂明「大臣が国会で官僚の原稿を“棒読み”する4つのメリット」

連載「政官財の罪と罰」

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著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。主著『日本中枢の崩壊』『日本中枢の狂謀』(講談社)など。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

 お盆休みと北朝鮮のミサイル騒ぎの最中、「江崎鉄磨沖縄北方相が『お役所原稿朗読』で謝罪行脚 『数は力』というけれど…」(8月18日付産経ニュース)という興味深い記事が掲載された。

 安倍晋三総理が内閣改造を8月3日に行った後、江崎沖縄北方領土問題担当相が失言をして批判にさらされたのは8月5日――。

 国会答弁について、「しっかりお役所の原稿を読ませていただく。立ち往生より、ちゃんと答弁書を朗読かな」と話したかと思えば、北方領土問題についても「素人は素人。白紙で臨む。皆さんのいろいろな知恵で色をつけてもらうことが大切だ」と述べたそうだ。

 この発言で、安倍総理の「仕事人内閣」という言葉も一気に色あせてしまった感がある。ご本人は失言を世間が忘れてくれることを期待していたかもしれないが、安倍政権に批判的なメディアだけでなく、政権擁護派である産経までが蒸し返し、検証するのだから、国民から見てそれだけ、インパクトがある失言だったということだろう。

 この発言を聞いたときの私の最初の感想は、「この人は本当に正直だけど、とんでもなく軽率、おバカだな」というものだが、それとともに、「この人だけの問題じゃないよね」ということがすぐに頭に浮かんだ。

 実は、江崎大臣の失言は、政治家と官僚の関係の一面を明らかにするうえでとても良い材料を提供してくれたのだ。

●素人か、政策通かと議員を値踏みするのは官僚

 江崎大臣は、一連の失言の中で、自分のことを「素人」と呼んだ。素人の反対は玄人。最近は、「プロ」という言葉も使われる。政官界特有の言葉で言えば、「政策通」だ。
では、政策通と素人はどうやって識別されるのだろうか。

 その話に入る前提として押さえておかなければならないのは、その評価を誰が行うのかということだ。政策通なのか素人なのかを判断するのだから、評価者は、政策のことを熟知していなければならない。そうなると、普通の政治家には難しいし、マスコミでも政策を理解している人はごく少数だ。マスコミが、この政治家は政策通だと書くことはあるが、実際には、必ずしもその記者が判断する能力を十分に有しているわけではない。

 では、誰がそれを決めているかというと、実は官僚たちの影響力が最も大きい。


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