現在も内閣府で優先的に解決するための課題が何なのか、議論が続いている。

 不登校児童や外国にルーツのある子ども向けに教育サービスに特化したバウチャーを提供したり、低価格で利用できる「子ども食堂」で子どもと社会のつながる場所を作るといった活動が紹介されている。ほかにも放置された空き家や古民家を改修して観光地化に寄与、地域の活性化につなげるなど、分野は多岐にわたる。行政の手が届かない分野への支援が期待される。

 一方、高齢者社会で眠るお宝は、預金だけではない。実は「休眠保険」もかなりあるとされる。

 実は都内の高級住宅街で一人で暮らす独居老人は多い。ある大手銀行支店幹部はこういう。

「半年前、資産家の独居女性が亡くなりましたが、80歳代で軽い認知症を患っていました。お子さんも誰もいらっしゃらず、預金、生命保険もそのままになっています」

 別の大手銀行で生命保険を販売する担当者も「高齢化でお客様が(請求する際に必要な)保険証券をなくしたり、契約自体忘れたという方を対応する機会が増えてきた」と話す。

 施設入所で住所が変わり連絡が途絶えることもあり、高齢化に伴い、保険契約の課題が浮かび上がる。

 しかし、日本では、休眠「保険」の存在を確認する枠組みは整備されておらず、金額がどの程度に上るのか、あらゆる機関、専門家に聞いても金額を把握できなかった。

 休眠預金活用法の策定に携わった関係者は「土地や保険など、預金以外にも『休眠』している資産は多いが、利害関係を踏まえたうえで基準を設けるのは難しく、活用するか議論されるのは、当分先のことだろう」と話している。

 海外では休眠預金以外の資産を活用する動きもある。アイルランドは銀行預金と同じように生命保険も休眠扱いにした。休眠の要件はさまざまだが、放置されている保険を資産として活用した「成功事例」(日本政府関係者)だ。

 しかし、日本では休眠預金の活用でも、もともと国民のお金が原資のため、専門家から「一部の団体の利益誘導にならないか、透明性の確保が必要」との指摘もある。これからの審議が注目される。(文・佐藤拓也)