年間1200億円もあるといわれる「休眠預金」… あなたの家にも?(※イメージ写真)
年間1200億円もあるといわれる「休眠預金」… あなたの家にも?(※イメージ写真)

 独居高齢者が増え、眠ったままになっている預金、保険などの資産管理に関心が高まっている。

 金融機関で10年以上放置されたお金「休眠預金」は、年間1200億円もあるといわれる。

 この休眠預金を民間の公益活動に使う「休眠預金活用法」が昨年12月、参院本会議で可決、成立し、内閣府は2019年秋の運用開始を想定し、審議会を開いている。

 そもそも休眠預金とはどんなものなのか。記者が銀行で働いていたとき、色褪せた通帳を手に「しばらくこの口座を利用していなかったけど、いくらお金が入っているか調べてもらいたい」と来店する顧客がいた。この顧客は口座を最後に利用してから20年近く経過し、現金自動預払機(ATM)で通帳を読み込めず、入出金できなかった。

 このように10年以上取引してこなかったお金を休眠預金、または睡眠預金と呼ぶ。金融機関によっては、通帳の記帳や残高照会など入出金以外でも、利用していると見なしている。

 先日、記者も約10年前に開設した銀行口座を引き出そうとしたが、受付の行員から「長年使われていない口座ですので、引き出すのに少々お時間がかかります」と言われた。

 休眠預金扱いとなった口座は通常の手続きよりも時間がかかるのだ。

 あまり知られていなかったが、これまでは放置されていた預金は、所定の手続きを経て銀行の利益に計上されていた。

 休眠預金の活用が始まっても、預金者は活用前と変わらず、いつでも払い戻しできる。「自分の預金が無断で使われる」状況にはならない。

 13~15年度にかけ、放置された預金は年間約1200億円に上った。このお金を保有する預金者に対し、銀行は通知を送付し、預金の存在を知らせる。

 そして毎年、約500億円が払い戻しされ預金者の手元に戻るが、残り約700億円は「引っ越した人が銀行に住所変更の届け出を提出していないため、通知を受け取れない」「家族に内緒で作った『へそくり口座』のため、預金者が亡くなった後も気づかない」といった理由で、預金者の手元に戻らず、休眠預金となる。

 いま、議論されている700億円の主な使い道は、(1)子どもや若者、(2)日常生活が困難な者、(3)地域活性化の3分野だ。

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