戦術理解という意味ではJ1で9得点の小林悠も有力だが、昨年10月のオーストラリア戦では右ウイングとして起用され、本田圭佑が1トップを任された経緯がある。現在の川崎では“ゼロトップ”的なシステムで、小林は右のウイングというより“ワイドアタッカー”として幅広く攻撃に絡んでいる。前からのディフェンスやセットプレーの守備もハリルホジッチ監督に買われている節があり、再びオーストラリア戦で抜擢されてもおかしくない。ただし、小林の場合は大迫の“代役”ではなく、1トップの選手をワイドからサポートする存在としての起用が想定しやすい。

 新戦力として最も期待されているのが、セレッソ大阪の躍進を牽引する杉本健勇だ。2年前の国内合宿に呼ばれたように、もともとポテンシャルを高く評価されており、今回のメンバーに選ばれるなら満を持しての選出となる。187cmの長身と日本人離れした身体能力を誇り、体を投げ出しながらもボールを正確に捉えるアクロバティックなフィニッシュがはまれば、オーストラリアのDF相手でも十分にゴールが期待できる。

 ただ、杉本はポストプレーに関しては高さでターゲットマンになれるものの、厳しいマークを背負いながら起点を作るというタイプではない。しかも、相手は屈強な守備陣を揃えるオーストラリアだ。杉本がゴール前で存在感を発揮するには中盤のサポートが不可欠だが、3、4日の準備期間で代表チームにフィットするのは簡単ではないだろう。メンバーに入ったとしても、まずは終盤の勝負どころで投入される前線のオプションというのが筆者の見通しだ。

 これまで何度か名前が挙がっている長沢駿はAFCアジア・チャンピオンズリーグでの経験があり、杉本よりターゲットマンの仕事は期待できるものの、やはり大一番でいきなり抜擢するリスクは大きく、ゴールゲッターとしても興梠や小林、杉本より評価を下げざるを得ない。

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