これまで私たちは、9時から5時まで会社にいるという働き方が当たり前の社会で生きてきました。日本の企業で役職についている世代の人たちの中には、部下が自分のデスクに座ってパソコンに向かっている姿や、長時間の社内会議に部下が出席する姿を見て安心し、そういう部下を評価するという傾向がまだまだ強いのではないかと思います。そのため、若い社員たちも、その考え方に応えるべく、オフィスに張り付くことになります。

 しかし、日本の企業も、そろそろ他の選択肢があるということに気付くべきです。なぜなら、会社では、様々な「邪魔」が入るために仕事に集中できない可能性が高いからです。会社に1日いるということは、仕事の邪魔になるものに包囲されていることと同じです。部下をオフィスに縛り付けている方々に伝えたいのは、この「邪魔」を取り除くかどうかは、あなた次第だということです。

 とはいえ、急に明日から「会社にくるな!」とは言えないのが現実です。では、どうすればいいのでしょうか。実はこの検証結果から学び、改善できることがあります。それは、オフィスの環境管理です。例えば、肌がカサカサする、蒸し熱い、なんだか息苦しいというような従業員が感じている不快感は単なる気分の問題ではありません。環境管理ができていないから起きていることです。

 仕事に集中できる時間が増えれば、人は創造性が高まります。これは、業種にかかわらず、今、世界中でビジネスパーソンに最も必要なスキルの一つといわれているクリエイティブ思考を使う業務の生産性を向上させることにつながるのです。それには、それぞれの企業が生産性を見える化し、従業員が仕事に集中できる環境を意識的に選択することができる改革をすることが求められます。ちなみに僕はこの原稿を気温24度、CO2濃度600ppmという環境を維持しながら書いています。言うまでもなく、仕事に集中することに適した環境化で生産性を最大化できている(はず?)です。

 今回のテレワーク・デイ1日で何かをやった気になって満足するのではなく、参加した企業も、今回は参加しなかった企業も、「生産性の向上」というプラス思考で、従業員の働き方を変えることを考えてほしいと思います。