日本代表で長年キャプテンを務める長谷部誠のような発言だ。長谷部もしばしば口にするが、大切なのはキャプテンマークを巻くことではなく、チームを引っ張っていくという責任感と自覚を持つことだ。酒井はそれがわかっている。

 ただ、個人的には、明確なテーマを持って新たな1年に臨むつもりだという。

「結果の部分です。個人的に目に見える結果を残して残留に貢献したかったなという思いが、昨シーズンにはありました。1得点、2アシストという結果には、全く満足していないです。サイドバックだけではなく、ボランチもやることがあったなかでの結果で、それですから。目に見えるような(ゴールやアシストという)結果を一つでも多く残せるための準備をトレーニングからしっかり取り組んでいきたいです」

 ブンデスリーガの歴史のなかで、リーグ創設初年度から1部で戦い続ける唯一のクラブがHSVだ。そんな名門チームのキャプテンをシーズン途中に任され、1部残留を成し遂げた酒井は、日本での評価よりもドイツでの評価の方が高い選手だ。だからこそ、充実したオフでたくわえたパワーを、その評価をさらに上げるために使うことが、今シーズンの酒井には求められているのである。(文・ミムラユウスケ)