メディア法の専門家である京都大学・曽我部真裕教授は「一般論として、警察が犯罪予防等の使命の達成のために企業や市民に対して任意の協力要請を行うことは認められている」としながらも、「こと表現の自由に関してこうした申し入れをすることには慎重であるべき」とコメントしている。

 一方で、法的拘束力を持たない申し入れ程度であれば、作者は萎縮する必要はなく問題もないとの意見もネット上では散見される。また幼女へのレイプ描写などを多く描いてきた作者に対し、「犯行の手口を広める」「少女を性的にまなざす風潮を助長してきた」といった批判もある。架空の物語を描く作家たちに、どこまでの社会的配慮を求めるかについては、議論も多いだろう。

 いずれにせよ、“異例の申し入れ”が今回に限り行われた理由はなんなのか。その理由に関しては「捜査に支障もあるため回答できない」とのことで、埼玉県警からは無回答である。この騒動の先行きはどうなるのか、漫画家のみならず、多くの法曹関係者も固唾を呑んで見守っている。

(ライター・佐藤圭亮)