阪神の能見篤史(左)と中日のゲレーロ(c)朝日新聞社
阪神の能見篤史(左)と中日のゲレーロ(c)朝日新聞社

 連日の夏日が続いた5月。上昇した気温に負けじとペナントレースを“熱く”沸かせた男は誰か?5月1日から5月31日までの1カ月の戦いの中でのセ・リーグの月間MVPを予想したい。

【セ・リーグ投手部門】
能見篤史(阪神
 5月21日時点で発表されたセ・リーグ投手部門の候補選手は、田口麗斗、菅野智之(ともに巨人)、野村祐輔(広島)、ウィーランド、山崎康晃(ともにDeNA)、秋山拓巳、メッセンジャー、ドリス(すべて阪神)の計8人。だが、阪神の能見篤史の働きを忘れてもらっては困る。

 プロ13年目を迎えたベテラン左腕。過去3年は黒星が先行し、今季も4月は5試合に先発して0勝2敗と出遅れたが、5月に入って上昇気流に乗った。5月7日の広島戦(甲子園)で5回2/3を5安打無失点に抑えて今季初勝利を飾ると、同17日の中日戦(甲子園)で6回1/3を5安打1失点、同24日の巨人戦(甲子園)では7回を2安打無失点と、ともに白星は付かなったが、先発投手としての仕事を高次元で遂行した。そして5月最後の試合、31日のロッテ戦(ZOZOマリン)で7回2/3を4安打無失点に抑えて、今季2勝目を手にして健在ぶりを再アピールした。

 これで5月は4試合に登板して2勝0敗で、防御率は驚異の0.34。他の先発陣の候補者たちでも、月間防御率1点台(田口が1.55、野村が1.88)なだけに、5月28日に38歳の誕生日を迎えた男に、2014年4月以来自身6度目の“プレゼント”を贈りたいところだ。

【セ・リーグ打者部門】
ゲレーロ(中日)
 打者陣の有力候補は助っ人陣になる。5月の月間打率トップは、打率.389をマークしたマギー(巨人)。そしてビシエド(中日)も月間打率.341とともに8本塁打と爆発し、エルドレッド(広島)は打率.274と2人には劣るが、計9本塁打を放ってチームの首位再浮上に大きく貢献した。だがこの5月、彼ら以上に多くのアーチを放ったのが、スランプから脱出したゲレーロ(中日)だ。

 今季新加入し、キャンプ、オープン戦と高い評価を受けたが、開幕から極度の打撃不振。4月を終えて打率.217、2本塁打と完全な“ハズレ”だった。しかし、5月3日、4日の広島戦(マツダ)で2試合連続本塁打を放つと、以降もコンスタントに快音を響かせ、5月最後の3試合で3戦連発弾の離れ業。月間打率.281は他の候補者よりも劣るが、月間本塁打数はリーグ単独トップの10本塁打を数えた。

 打順も開幕当初の3番から一時は7番にまで下げていたが、調子の上昇とともに6番、そして5番と打順を上げて存在感を示すようになったゲレーロ。開幕から守備面でのミスもあったが、我慢して使われ続ける中で、本人の努力もあって日本野球に着実に順応。本塁打王のタイトルも視野に入れ始めたキューバ出身のスラッガーには、5月の月間MVP受賞だけでなく、交流戦でのさらなる大爆発も大いに期待される。